民主党の再生を阻む「連合」の既得権益と行き場のない非正規労働者の一票 (藤本 順一)
参院選は概ね事前に予想した通りの結果となった。ただ、65議席を獲得した自民党は圧勝とはいえ、当初20議席超えも視野に入っていた比例区が18議席に止まった。
ねじれ解消による政治の安定を求めた国民有権者は自民、公明両党合わせ参院のすべての常任委員会で委員長ポストを独占できる絶対安定多数を与えたものの、一方で勝ちすぎる安倍自民党への一抹の不安が投票行動に表れたのかもしれない。
惨敗の民主党は前途多難だ。開票を待たずに細野豪志幹事長が辞意を表明した自己保身に悪しき体質と限界が見て取れよう。このまま消滅してしまうのか、再生に向けて歩み出すのか。見極めるにはしばしの猶予が必要だ。
カギを握るのは最大の支援組織「連合」の存在だ。
今回、民主党の比例区で集めた710万票は、連合が抱える組合員数とほぼ一致するが、組合員の家族が投じる一票を勘案すれば連合票の民主党離れは否めない。一方で労働組合の組織率の低下も近年顕著となっている。つまりは民主党が頼みとする連合の組織票は二重の意味でジリ貧となるわけだ。
そうではあれば民主党には新たに安定した票田の掘り起こしが必要だが、「連合」がその足枷にもなる。
民主党は比例で7議席を得ているが、このうち6人を「連合」の組織内候補が占めている。その分「連合」の民主党に対する発言力は増すことになろう。逆に言えば、「連合」と利害が対立する政策はより打ち出し難い。
周知のとおり、「連合」は日教組や自治労の左派系官公労と官公労と電機、自動車など中道右派系産別組合の寄せ集めだ。そのことが度々、民主党内の路線対立の火ダネにもなった。
民主党が原発エネルギー政策や行政改革で中途半端な公約しか打ち出せなかったのはそのためだ。
加えて言えば、労働者の4割弱を占める非正規社員、パート労働者の待遇改善は政治が最優先に取り組むべき課題であり、多くは非組合員であり女性や若年層である。しかしながら雇用や社会保障政策で民主党は正規従業員、労働者が大半を占める「連合」の既得権益を守る立場だ。先細る「連合」の走狗となるか、新たな労働者層の支持拡大を目指すのかも民主党の今後を占う上で注目しておきたいところである。
【ブログ「藤本順一が『政治を読み解く』」より】
※トップページフォト:Headquarters of the Democratic Party of Japan (Wikimedia Commons /Author:Lombrosoより)
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