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写真で見る、福島第一原発のいま 〜2013年6月の取材会から〜(文・写真 木野 龍逸)

2013年6月11日に、福島第一原発の報道関係者取材会を実施した。本店が主催する団体での取材会は2012年2月、5月、9月、2013年2月に続いて5回めで、フリーランスの記者を対象にした枠ができてからは4回めになる。この他に東電は、記者クラブ対象の取材会や、大手メディアに対する個別の現場取材などを実施している。

私自身は今回で3回めの取材会への参加になった。これまでの2回は現場へのカメラの持ち込みができなかったので(最初はカメラ枠がなく、2回めは同行した人が撮影した)、自分で写真を撮ることができたのは初めてになる。取材会当日はガスが濃く、原子炉建屋のがれき撤去工事をしている大型クレーンや、建屋の排気筒は頂部が見えなかった。

原発構内の様子は、これまでと大きく変わったという印象は受けなかった。もちろん、汚染水が流れている配管はカナフレックスという塩ビ製の柔らかいものから、ポリエチレン製の硬性のものに変わり、道路脇を這いまわっていたものが整理されていた。4号機には使用済み燃料取り出し用の構台が設置されて、崩れた壁面は見えなくなっていた。3号機にも同様のカバーがついて、ボロボロの建屋は隠れてしまった。

けれどもそれは見た目の印象に過ぎず、カバーや構台の影には爆発で崩れた建屋があり、その中には状態が不明なままになっている原子炉、溶け落ちた燃料がそのまま残っている。汚染水の配管も本設とは言い難い。構内をバスで走れば、高濃度の放射性物質を含む貯蔵タンクが敷地を埋めるように林立しているのが、いやでも目に入る。建屋の海側には砕石をネットで束ねて重ねた、東電「仮設防潮堤」と呼んでいるものがある。現場のこの状況は、もし東日本大震災のような地震、津波がきたらどうなるのかという不安を払拭できるものではない。

福島第一原発の日々の状況は、よく見えない東電のカメラや、遠方から撮影を続けているJNNのカメラの2つでしか確認できない。今回の写真が、少しでも情報不足を埋めることになれば幸いです。

1)アラーム付きの個人線量計。いわゆるAPDというもの。ところで今回の取材会では、ぼくの線量計はJヴィレッジに戻ったところで電池の接触不良があり、積算値がゼロに戻ってしまった。東電の対応を見ていると珍しくはない様子だった。

2)狭い会議室で大人数がきげをするのでちょっと時間がかかる。少人数対応にしたほうがいろいろと利便性がいいと思うのは僕だけなんだろうか。

 

3) 爆発と津波と地震でぼろぼろになった事務本館。

 

 

4)福島第一原発、1号機タービン建屋の海側で、原子炉への注水ラインの工事をする作業員。海側は、津波で流されたクルマがそのまま放置されている。

 

5)1号機CSTタンク

 

 

 

6)高さ4mの仮設防潮堤。砕石をネットでくるんで積んでいるだけなのがわかる。これで津波を防ぐことができるのか?

 

 

7)4号機タービン建屋の海側。ひっくり返ったクルマはそのまま残置。線量の問題もあって作業が後回しになっている。

 

 

8)4号機原子炉建屋の横に建設された、使用済み燃料の取り出しのための構台。構台の内部にクレーンを据えて、使用済み燃料プールに入っている燃料を釣り上げる。

 

9)汚染水の処理、貯蔵のための設備。円筒形のものは、放射性セシウムを除去するための除染装置のフィルターカートリッジ。後ろの四角いコンクリは、使い終わったカートリッジの保管容器。手前は使用前のカートリッジ。

 

10)2013年7月2日時点で約26万トンの放射性汚染水を貯蔵しているタンク群。1000トンと500トンのタンクが数百基設置されている。

 

 

 

11)敷地南側の高台にある、汚染水タンク群とセシウム除去設備のフィルターカートリッジ貯蔵場。右奥の灰色のタンクは、4月の地下貯水槽漏洩事故の後、急遽設置した1基500トンの組み立て式汚染水タンク。左奥はもともと計画されていた汚染水タンクで、繋ぎ目のない溶接タイプ。東電は汚染水タンクの信頼性向上のために、一部で溶接式汚染水タンクの増設をしている。
12)4月に漏洩が発覚した地下貯水槽で、残水の汲み上げ作業などをする作業員。手前の少し高くなっている部分の下に、貯水槽(プール)が埋まっている。奥の青いタンクは、汚染水を入れているもの。

 

13)汚染水タンクについて説明する東電担当者。右奥は、地下貯水槽の漏洩事故後、慌てて設置した汚染水用タンク。

 

14)手前灰色のタンクは、4月の地下貯水槽漏洩事故後に急遽設置したもの。奥は溶接式のタンク。

 

 

15)汚染水貯蔵いろいろ。左奥は鋼鉄製の貯蔵タンク。青いのは事故直後に発注した汚染水タンク。手前の少し高くなっている部分が地下貯水槽。

 

 16)線量が高いという理由で、取材会の際はバスで通り抜けるだけの3号機北側。外川にカバーを設置しているので、ほとんど見えないが、爆発で引き飛んだ4階、5階部分のガレキがだいぶ撤去されているのがわかる。

 

17)福島第一原発の司令塔が置かれている免震重要棟の入り口は線量が高く、除染ではなかなか落ちなかった。遮蔽板を敷いているのがわかる。

 

18)免震重要棟に飾られた千羽鶴や色紙。1年前に来た時と同じように飾ってあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

19)敷地内から出るときに汚染をチェックする場所。1台に10人以上が集まって汚染を確認する。先日は、ここで汚染が判明したにもかかわらず、運転手がそのまま外に出てしまった。

 

【ブログ「キノリュウイチのblog 」より】

 

 

 

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by Steve Herman

from http://commons.wikimedia.org/wiki/File:VOA_Herman_-_April_13_2011_Fukushima_Nuclear_Power_Plant-02.jpg?uselang=ja