トルコ反政府デモは木の伐採への小規模な抗議から始まった(岩重光義)
2013年5月27日、トルコ最大の都市・イスタンブールの新市街地にあるゲジ公園で木の伐採に反対する小規模な抗議が始まった。
この反政府抗議は、その後すぐにトルコのエルドアン政権に反対する抗議デモへと拡大した。
激しさを増すデモに対し、警察は機動隊を派遣。車両から催涙性溶液の放水を行ない、時にデモ隊をめがけて意図的に催涙弾を命中させた。
一方、抗議活動に参加する若者は、敷石をはがして機動隊へ投石するなどで応戦、辺りにあるゴミ箱やフェンスなどを積んでバリケードを作り、ゲジ公園への警察車両の進入を阻んだ。
ゲジ公園を占拠したデモ隊は、テントを広げ居座ったが、2週間後、警察により排除される。
このデモによる死者は4名、ケガ人は市民と警官を含め約8400名にのぼる。
穏健派イスラーム主義のレジェプ・タイイプ・エルドアンを党首とする現政権の「公正発展党(AKP)」は、長い時間をかけてトルコ全土からの支持を得てきた。
また、現政権は、クルディスタン労働者党(PKK)との和平交渉を進めるなどクルド問題の解決にも乗り出していた。
しかし、エルドアン首相が酒の販売や飲酒場所の規制する法律を成立させたため、トルコ建国以来の世俗主義と相反すると考える市民から不満の声が上がった。
そのため、各地の労働団体をはじめ、民族主義者、国粋主義者、共産主義者、無政府主義者、同性愛者、アレビー派(イスラム教の一派)、クルド人などの団体がエルドアン首相の辞任を求めた。
また、トルコ建国の祖・アタティルク政策の流れをくむ最大野党の共和人民党(CHP)もこれに加わった。
それでもエルドアン政権は、ゲジ公園の木を伐採し開発を進め、そこにオスマン帝国の兵舎の再建とモスクの建設を予定しているという。
エルドリアン首相による、こうした独裁的なやり方に不満を持つ市民が増え、現在、反政府デモはトルコの67都市にまで広がっている。
[caption id="attachment_11339" align="alignnone" width="620"] 警察に対しい挑発していたデモ隊の若者達に向かって、ついに警察は放水を始めた[/caption]
[caption id="attachment_11340" align="alignnone" width="620"] 機動隊が去った後、機動隊が移動用に使っていたバスを壊すデモ隊の若者[/caption]
[caption id="attachment_11341" align="alignnone" width="620"] 催涙弾を撃ってくる機動隊の前で堂々挑発する若者[/caption]
[caption id="attachment_11342" align="alignnone" width="620"] デモ隊によりホテルの前の噴水に落とされたパトカー[/caption]
[caption id="attachment_11343" align="alignnone" width="620"] タクシム広場で待機中に子供と遊ぶ機動隊員[/caption]
[caption id="attachment_11344" align="alignnone" width="620"] デモ隊により汚された道を掃除する婦人[/caption]
(c) Mitsuyoshi Iwashige