地下水観測孔1-2から全βが90万Bq/L検出(おしどりマコ)
2013年7月5日の東京電力定例会見の終わりがけに、一枚の資料が配られた。
地下水観測孔No.1-2の速報値が出たのである。
その結果は、全βが90万Bq/L検出された、というものであった。
この地下水観測孔は、先月6月19日に、2号機タービン建屋東側の地下水観測孔No1から高濃度のトリチウムが検出されたことをうけて、
どちらの方向からの汚染か調査するため、観測孔の周囲4方向に新たに観測孔を掘ったものである。
(観測孔No1のために、観測孔No1-1、1-2、1-3、1-4を掘削した)
**関連記事**
「2号機タービン建屋観測孔からトリチウムが50万Bq/L検出」
http://op-ed.jp/archives/9567
「港湾内のトリチウム測定結果」
http://op-ed.jp/archives/9963
本日の会見で、海から4mと訂正された。応急処置として、海側に地盤改良剤を注入し、汚染水の海への漏えいを防ぐ計画を始めるという。しかし、それは根本的な解決にならず、いずれ、迂回して海に流れる。
以下の写真は、筆者がそのことを会見後のぶら下がりで聞いたときのものである。考え方として、現時点で、地下水が高濃度の放射性物質で汚染されているので、
まず、それが直接海に流れ込まないよう、土壌改良剤で直近ルートを防ぐ。
この汚染がどこからのものか調査し、汚染水の漏えい元を防ぐ。(漏えい元がわからなければ、対策のしようがないので)そして、漏えい元を探し、防ぎ、平行して、
付近の漏えいした汚染水をどう扱うか検討する。
(今のところ、直近ルートを防ぎ、
海に流出したものはシルトフェンスで防げるかどうか、というところである)ちなみに、土壌改良剤を注入し、海への漏えいの直近ルートを阻害する計画を実行すると、
海側の地下水観測孔No1-1は使用できなくなる。本日のデータでは、No1-1のトリチウムの濃度は51万Bq/Lとなっており、
今まで観測された中で最も高い値が出た。
そして、海まで4m、ということも本日発表された。その地下水観測孔No1-1が土壌改良剤による工事で使用できなくなる、
ということで、
海に近い観測孔は今後作らないのか?
土壌改良をした部分と、海の間に観測孔は作らないのか?
と筆者は質問したが、
今のところ具体的に何も決まっていない、とのことであった。
この地下水観測孔No1の汚染は、
平成23年4月2日の2号機の漏えいした際の汚染水が寄与しているのではないか、
というのが東京電力の見方である。
平成23年4月2日の漏えいと聞いてもピンと来ないが(漏えいが多すぎて!)
この写真に見覚えがある読者も多いのではないだろうか?
[caption id="attachment_10807" align="aligncenter" width="620"] 東京電力サイト、写真・動画集より[/caption]
あの漏えいである。過去の資料や、報告書を読むと、このときの漏えい防止措置についても
付近に汚染水が充満しているのではないだろうか?)
というのが東京電力の評価のため、
ある程度予想されていたことではある、と東京電力は言っていた。
その後、1-2、1-3、1-4と作っている最中である。
この、全βが90万Bq/L検出というのは、ストロンチウムの寄与が大部分だと想定されている。
ストロンチウムの排水中の告示濃度限度は30Bq/Lである。
地下水に、β核種が90万Bq/L存在している、というのは恐ろしい話である。
しかも、今回初めての測定のため、
いつからこのような状態だったか、推測できないのである。
(続編に続く)
[caption id="attachment_10811" align="aligncenter" width="620"] 排水中の告示濃度限度を大きく超えた、と評価するのかと確認すると、そうだ、とのことであった。[/caption]