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安倍自民党圧勝で切り捨てられる高齢者と原発被災者の悲劇(藤本順一)

「悲惨な爆発事故を起こした東京電力福島第一原発を含め、それによって死亡者が出ている状況ではない。最大限の安全性を確保しながら活用するしかない」

自民党の高市早苗政調会長は17日の講演でこう述べた。原発再稼働に前のめりの安倍政権の立場を正当化したものだ。

確かに事故直後、被爆で亡くなった人はいないが、だからといって原発の再稼働を許す理由にはなるまい。
「いまだに避難生活を余儀なくされている人々が数多くおられる状況下にあって、常軌を逸した発言」とは、みんなの党の渡辺善美代表のコメントだが、多くの国民もきっと同じ思いを抱いたことだろう。

同じ日、社会保障と税の一体改革を担当する甘利明経済再生相はテレビ番組で終末期医療のあり方について「(回復の見込みがなく)チューブにつながれて最後を迎えるのは悲惨だと思う人は多い。本人の意思確認をして平穏な道を選びたいという人ならば、それだけで医療費は下がる」と述べている。甘利氏はまた、前日のテレビ番組で高齢者医療費(70歳~74歳)の自己負担額を現行1割から2割に引き上げる考えを示した。
周知のとおり、原発の再稼働も医療費の削減も安倍自民党が掲げる「成長戦略」と「財政健全化」の両立に欠くことのできない喫緊の課題である。
この2人はその設計図を描く党と内閣の責任者だが、こんな発言をするようでは自民党の圧勝が伝えられる参院選後が心配だ。
先に安倍晋三首相は「企業の投資に火を付ける必要がある」として秋の臨時国会で企業の設備投資減税など法人税減税を打ち出す考えを示した。
一方で社会保障費の削減については先に閣議決定した「骨太の方針」で「聖域を設けず」とするに止め、具体的な削減策を選挙後に先送りしている。
有権者の反発を怖れてのことだろうが、高市氏や甘利氏の社会的弱者に配慮を欠いた、あるいは人命を軽んじるような発言を聞けば、安倍政権の企みは大方察しがつこう。

高市氏は19日、自らの発言を撤回し、謝罪したが、問われたのは言葉ではなく、政治家としての資質であり安倍政権の体質である。