自民党の暴走を止めるには野党の再集結しかない(藤本 順一)
参院選圧勝で懸念される安倍自民党の暴走と国会のチェック機能低下
安倍晋三首相は17日、記者団を前に7月参院選について「自民、公明両党で過半数を目指していくことになる」と述べた。つまり、参院の過半数122議席から与党の非改選59議席を差し引いた63議席が勝敗ラインというわけだ。自民党内では単独70議席以上との強気の読みもあるだけに、陣営の気の緩みを懸念してのことか。そうだとしてもずいぶん控えめな数字である。
もっとも、安倍政権の是非はともかく、ねじれ国会が解消されるだけでも政治的には大勝利だ。少なくとも次の衆院選まで「決められない政治」の心配はなくなる。
ただ一方で野党にもそこそこ勝ってもらわなければ、国会のチェック機能は低下する。政権の暴走に歯止めをかける野党の存在がなければ、議会制民主主義は成り立たない。
「野党は最終的に一つの政党になるのがいい。民主党は参院選で惨敗しても衆参で国会議員が100人ぐらいいるから、中心になって新しい器を作る努力をしてほしい」
小沢一郎・生活の党代表は14日のラジオ番組でこう述べ、民主党に参院選後の野党再結集を求めた。
それしかないだろう。新党結成はともかく、曲がりなりにも民主党は唯一、自民党に対抗できる組織政党である。党内に野党を一つにまとめるだけの識見、力量を備えた人材が見当たらないのが残念なところだが、今一度、小沢氏と手を組むのも選択肢の一つだ。
その前にまずは参院選の選挙協力を通じて第3極政党との信頼関係を築き、野党共闘の下地を作ることができるかどうか。
参院選の前哨戦となる東京都議会選挙は自民党の圧勝が伝えられているとはいえ、悲観することはない。
折しも浜岡原発の再稼働問題を抱える静岡県知事選が16日に行われ、夏の参院選挙で再稼働を公約に掲げる自民党が支援した新人候補が、県民の意志を尊重するとした現職候補に大差で敗れた。
民主党が非自民、反安倍政権の受け皿として有権者の信頼を取り戻す時間は、少ないがまだある。