橋下徹大阪市長にシッポを振った公明党の乱心と創価学会800万票の怒りの矛先(藤本 順一)
「我が国の防衛力体制強化は地域の平和と安定の強化に不可欠だ。日本の右傾化を指摘する声もあるが、全くの誤解だ。安倍政権は周辺諸国に誤解と不信を招いた野党党首の発言や歴史認識に組みしない」
小野寺五典防衛相は1日、アジア安全保障会議の演説でこう述べた。野党党首とは「日本維新の会」共同代表の橋下徹大阪市長のことだろう。
昨年末の衆院選で安倍自民党は橋下市長との蜜月ぶりを演出していたはずだが、見事なまでの手の裏返しである。
それにもとはと言えば、右傾化への懸念は橋下氏にではなく、安倍政権そのものに向けられたもの。村山談話や河野談話に難クセつけ、国防軍の創設や憲法9条の改正を言い出せば、「右傾化」を指摘されても当然だ。
先に自民党の安全保障調査会と国防部会がまとめた「防衛計画の大綱」への提言には、中国の海洋進出や北朝鮮の核・ミサイル開発への対抗策として、「適地攻撃能力の保有」や「海兵隊的機能の保持」などが検討項目として盛り込まれている。
具体的には垂直離着陸型輸送機「オスプレイ」や水陸両用車の配備、地対空誘導弾パトリオット(PAC3)やイージス艦の増強するよう求めている。
これが現行憲法の規定する「自衛のための戦力」の枠内に収まるのかどうか。収まらないとすれば当然ながら憲法改正の議論も出てこよう。
そのこと自体、他国にとやかく言われる筋合いではないが、安倍自民党の「タカ派的」言動が重なれば、誰であろうとかつての「軍国日本」を連想しよう。
小野寺防衛相が言うように、日本の防衛力体制強化が地域の平和と安定強化に不可欠ならば、まずは国民に充分な情報を提供し、疑問や不安を払拭することが先決だ。
平和の党を標榜する公明党の役割も重要だ。目先の利益、党利党略を優先して安倍自民党の「タカ派」的体質に引きずられ、追随すればいずれ有権者(創価学会員)に見放されよう。結党の精神を取り戻して欲しいものだ。