放射能と家族愛をテーマに……若手映画監督の挑戦(村上 隆保)
「これは半分ドキュメント映画なのかもしれない……」放射能汚染と家族愛をテーマした作品『雫〈SHIZUKU〉』の藤井翔監督(23)は、そう語った。
祖父の病気をきっかけにして放射能について詳しく調べるようになり、地道にその影響を伝える活動を続ける姉。
そんな姉に最初は反発しながらも、しだいに彼女を助けるようになる弟。
47分という短編映画だが、この作品には藤井監督が“本当に伝えたいこと”がストレートに描き出されている――。
「小さい時から映画が大好きだった」という藤井監督は、高校2年生からカナダに留学。卒業後は日本に帰国し、映像の勉強をするためデジタルハリウッド大学に通った。
そして、「大学在学中にも映像の勉強をするため、アメリカの『UCLA Extension』に留学しました。UCLA Extensionはさすが本場の街だけに、映画にかける情熱がすごかった。しかも学生だけでなく、ふだんハリウッドで仕事をしている人たちも、一緒になって映像の勉強をしようと学校に集まってくるんです。なによりも、本場のプロと一緒に学べたことが、この留学の一番大きな成果でした」
世界のトップクラスの映画業界人たちと実際に触れ合って感じたこと。それは、「映画へのパッション(情熱)」だという。
一線級のパッションを受けた藤井監督は、UCLA Extension留学中に制作した作品『Intangible(形のないものや心情の曖昧な状態)』で「最優秀脚本賞」と「最優秀撮影賞」を受賞する。
また、その後、中国・北京で開催された「MPA CICE(映画協会・中国著作権エキスポ)」のワークショップの脚本プレゼンテーションで、日本人で初めて入賞するなど、海外で高い評価を得ている。
そんな彼が、大学の卒業制作として作り出したのが『雫〈SHIZUKU〉』だ。
藤井監督には飲食産業で仕事をしている姉がいる。その姉は今、放射能に影響を受けていない安全な食品を提供するための活動をしている。
「これは半分ドキュメント映画なのかもしれない……」と語った彼が、UCLA Extensionで学んだ“情熱”を持って、本当に伝えたいことを作品にした。
今、少しずつだが確実に若い人たちの間で、自分たちの国や生活を見つめ直そうという動きが起こっているように感じる。
若き映画監督の撮った『雫〈SHIZUKU〉/Intangible』のジャパンプレミアに先立ち、5月29日(水)20時から東京・お茶の水のデジタルハリウッド大学大学院の駿河台ホールでイベントが行なわれる。
また、6月9日(日)14時から東京・麹町のイタリアンレストラン「エリオ・ロカンダイタリアーナ」でもイベントが行われる。
[caption id="attachment_8720" align="alignnone" width="620"] 藤井翔監督[/caption]
藤井翔監督のホームページ(http://www.shofilm.net)
[caption id="attachment_8722" align="alignnone" width="620"] 雫〈SHIZUKU〉[/caption]
[caption id="attachment_8723" align="alignnone" width="620"] Intangible[/caption]
【DNオリジナル】