妊娠・出産の義務化も視野に入れる安倍首相の家庭の事情(藤本 順一)
子供の日の5日、安倍晋三首相はお得意のLINEを使い、小中学生に向けて質問を募集した。本人曰く、「総理大臣の仕事をしていると、普段なかなか子供たちとお話する機会もありません」とのこと。仕事からプライベートに踏み込んだものまで様々な質問が寄せられたそうだが、日常、LINEを使いこなしている小中学生がどれだけの数いるものなのか。まずもって子供にスマートホンを買い与えるような家庭は少数派だろう。
まあいい。せっかくだからと中3の愚息に質問させてみたら「安倍首相はなぜ、子供がいないのですか?なぜ、無理やり柔剣道をやらせるのですか?子供がいたら軍隊に入れますか?TPPに参加すると美しい棚田を守れるのですか?」等々、質問の嵐。
安倍首相は「いくつかの質問について、後日ぜひお答えしたい」と言っているから、楽しみに待つとしよう。
そして共働きの妻が横で一言、「子育てしたことない人に9条改正とか教育改革とか言われても説得力ないわよね」
確かに一理あり。子を持つ母の声なき声を代弁したものだろう。
周知のとおり、安倍首相は「女性の活力」を経済成長の原動力として位置づけ、少子化対策として産休育休の制度改正や待機児童の受け入れ体制整備など様々な施策を打ち出す予定だ。
ところがその一方で愛国心だの国防軍だの言われたのでは、産み育てることへの躊躇いも出てこよう。
また、少子化対策には女性の妊娠・出産を促すための啓発事業が盛り込まれる。これは医学的に妊娠・出産の適齢期と言われる25~35才を過ぎると加齢に伴い卵子が老化して妊娠することが難しくなり、不妊治療の効果が得られにくくなることなどを周知徹底させることで晩婚・晩産に歯止めをかけようというのだが、大きなお世話だ。かつて自民党に「女性は子供を産む道具」と口走った大臣がいたのを思い出す。そのうち安倍自民党は憲法で妊娠・出産を義務化するとまで言い出しかねない。女心も母心も理解できずにどうして“女性の活力”を引き出せようが。
【ブログ「藤本順一が『政治を読み解く』」より】