こう着状態の朝鮮半島、すでに中国もお手上げの状態か!?(辺 真一)
朝鮮半島の緊張状態はなかなか溶けない。米朝対立は膠着状態のままだ。
緊張が激化していなければ、緩和もされてない。北朝鮮が4月4日に東海岸に移動、配備したムスダンミサイルは依然として撤去されておらず、ミサイル部隊も撤収されていない。
最高司令官の金正恩党国防第一委員長がミサイル部隊に発令した「発射待機状態」も砲兵部隊に指示した「1号戦闘勤務態勢」も解除されたとの報道もない。
朝日新聞は4月29日付で「北朝鮮が発射準備を停止した」と報じていたが、韓国大統領府及び国防部のスポークスマンは「依然としていつでも発射できる状態にある」と、朝日の記事を否定していた。
「朝日」はムスダンミサイルから発信される信号や地上基地の通信管制レーダー波などミサイルが発射される際に試験的に発生する電波が傍受できなくなったことを停止の根拠に掲げていたが、韓国側は「電波は発生したり、発生しなかったりの繰り返しである」として、一向に警戒心を緩めていない。
さらに、朝日新聞によると、北朝鮮は4月中旬にすでに中国からの対話提案を受け入れており、武大偉朝鮮半島特別代表が訪米(21-24)後に武代表自身か、それ以上の高位級が訪朝するとの記事も載せていたが、武訪米からほぼ10日経つのに、中國要人の訪朝の気配は全く感じられない。
2日、韓国の林聖男朝鮮半島平和交渉本部長が訪中し、武代表と会談し、直接打診してみたが、訪朝話はなかったそうだ。
北朝鮮はこれまで外務省声明を通じて「6カ国協議には二度と出ない」「6カ国協議のいかなる合意にも拘束されない」と公言してきた。今年1月24日の外務省声明では「6カ国協議は死滅した」と断じている。その北朝鮮が6カ国協議の議長である武大衛代表を果たして受け入れるだろうか? 受け入れれば、6カ国協議再開の可能性は残されるが、どうだろうか?
武代表よりも格上の要人となると、外相から国務委員(外交担当)に昇進した楊潔チ氏だが、楊国務委員は外相の時に国連の対北制裁に賛成したことで北朝鮮の反発を買っている人物であることからこれまた難しい。
結局のところ、特使があり得るとすれば、北朝鮮で一番受けの良い王家瑞共産党対外連絡部長の再登板ということになるが、王部長の影響力にも限界がある。
北朝鮮が人工衛星と称してミサイルを発射した2009年の時も、この年の1月23日に王部長は北朝鮮にミサイル発射の自制を求め訪朝したが、北朝鮮は王帰国から1か月後の2月24日に発射を内外に予告し、4月5日に発射に踏み切っている。
昨年4月に発射に失敗した北朝鮮が再度発射の意志を表明した際にも、7月30日に訪朝し、自制を求め、さらには李建国政治局員(全人代常務副委員長)までもが11月30日に平壌に飛び、習近平総書記の親書を伝達したものの、北朝鮮は翌日の12月1日に「衛星打ち上げ」を発表し、12日に発射を強行している。
5月3日付の労働新聞に残念な論評が出ていた。これを読む限り、中國をもってしてでももはや北朝鮮の非核化は無理だと感じた。
「我が党の経済建設と核武力建設を並行して進める路線は恒久的な路線である」との見出しの論説には「この路線は急変する情勢に対処するための一時的な対応策ではなく、我が革命の最高利益から恒久的に堅持しなければならない戦略路線である」と、核を対米交渉のカードに利用する考えのないことを明らかにしていた。
また、「核大国は自らの支配権と利益に有利な今の秩序を永遠に固守しようとしている」として、「一極化世界を企む米国と他の核保有国らはお互いに対峙する国家利益と理念を持っている。しかし、他の国の核保有についてはいかに相手が長い付き合いの友であっても、また、その国の生死存亡がかかっていたとしても、意に介さず、お互いに野合し、必死で妨害している。19世紀の欧州のブルジョア政治家が『永遠の聯盟はない。あるのは永遠の利益だけだ』と言ったことがある。今日の核大国はこの政治家の説教とおり、動いている」
この論説が、中國に向けられていることは言うまでもない
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