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横浜市内で十数羽の鳥の死骸を発見!? 拡大する鳥インフルエンザ、ついに日本上陸か!?(相馬 勝)

最近、香港マカオに次いで、上海にも行ってきた。中国で鳥インフルエンザ(H7N9)が拡大しており、そのなかでも上海は最大の感染現場だからだ。日本への感染も危惧されるなか、横浜では30日、17羽のカラスが死んでいるのが見つかり、鳥インフルエンザへの警戒が強まっている。

上海虹橋空港に降り立つと、相変わらずどんよりした天気だった。上海は1年ぶりだが、昨年は現地駐在員が「5カ月も日の光が見えない状態で、ひどい大気汚染ですよ」と言っていたが、今回も着陸寸前に機長が「上海は晴れですが、スモッグが出ているようです」とアナウンスしていた。

「昨年以上に大気汚染が深刻化している。最近は黄沙も出ており、マスクは必需品だ」と日系企業駐在員がぼやいていた。

北京同様、上海でも高額なマスクが売れており、都内のドラッグストアで買った「PM2.5対応マスク」をお土産に持っていったら、「これは、いつも売り切れなんですよ」と大変喜ばれた。「大気汚染ばかりでなく、鳥インフルエンザ対策にも効果的だから」という理由だ。

[caption id="attachment_8226" align="alignnone" width="620"] スモッグが出て、曇ったままの上海市内(筆者撮影)[/caption]

上海ではマスクと並んで売り切れ状態なのが、「板藍根(バンランガン)」という漢方薬だ。本来は風邪のひき始めに飲むと効果的で解毒作用があるという中国ではポピュラーな薬だが、上海市や江蘇、浙江、安徽の各省で鳥インフルエンザウイルス「H7N9型」の感染者が相次ぎ発見された3月下旬、薬屋の店頭から姿を消した。

原料は植物の藍(あい)の根の煎じたものらしく、日本ではアブラナ科のエゾタイセイやホソバタイセイと同じ種類。ただ、専門家は「鳥インフルに本当に効くかは疑問。手洗いを励行する方が効果は大きい」と語っているが、いまのところ効果的なワクチンがないのも板藍根ブームに火が付いた理由らしい。

上海では3月初旬、市民の水源ともなっている黄埔江上流でブタの死骸1万匹が捨てられ大きなニュースになった。その後も、上海周辺では1000匹もの死んだ魚が川に浮いたり、ウズラや鳩、雀がばたばたと空から落ちてくるなど、尋常ではない事件が続いた。

さらに、鳥インフルエンザウイルスに感染した人間も死亡しており、当局はウイルスの蔓延を防ぐため、鶏10万羽以上を殺処分にしているが、被害はこれだけでは済みそうもない。

[caption id="attachment_8224" align="alignnone" width="1000"] 上海農産品卸売り市場(筆者撮影)[/caption]

筆者は上海最大の食糧市場である上海農産品卸売市場を訪ね、鶏などの家禽売場を取材したが、いつもは飼育された鶏などで騒然とした雰囲気とは違って、売り場全体が閑散としており、すでにさばかれた鶏の各部位が金属製のトレーに入れられて売られていた。買いに来る客がいないためか、売り子の女性は居眠りをしていたほどだ。

4月28日には江西省で鳥インフルエンザに感染した2人が新たに確認されたほか、福建省や台湾海峡をはさんだ台湾でも新たな感染者が発見されている。

30日現在で、すでに感染者は127人、死者は24人と被害は拡大している。

日本はゴールデンウイークの真っ最中だが、例年、多くの日本人観光客が訪れる中国旅行は昨年来の反日運動のほか、鳥インフルエンザの影響もあって、キャンセルが相次いでいる。

msn産経ニュースによると、主に中国旅行を取り扱う日中平和観光(東京都中央区)が昨年の大型連休に中国旅行を手配した日本人観光客は数百人だが、「今年は全滅」(担当者)とお手上げ状態。JTBによると、大型連休中に訪中する日本人観光客数は、昨年の9万6千人から7万8千人と2割近く落ち込むとみられるという。

[caption id="attachment_8225" align="alignnone" width="620"] 上海の市場の家禽売り場。閑古鳥が鳴いていた(筆者撮影)[/caption]

鳥インフルエンザの日本への感染が危惧されるなか、30日午前、横浜市内の路上ではカラス17羽と鳩1羽の死骸が見つかっている。詳細は不明で、本稿でいたずらに危機を煽るようなまねはしたくないが、検査でカラスから陽性反応が出れば、近隣の養鶏場などの検査も必

要となるだけに、日本にとって鳥インフルエンザ騒ぎはもはや「対岸の火事」ではなくなりつつあるようだ。

同ニュースは旭化成の対応として、「人から人への感染が確認されれば、一部を除いて駐在員を帰国させることも検討している」と報じているが、筆者が上海の日系企業責任者から得た情報でも「日系企業のなかには、ヒトヒト感染が確認されたり、パンデミック(世界的大流行)になれば、家族や駐在員の一時帰国させることを検討している」という。

【NLオリジナル】