中国・習近平政権、マカオで腐敗撲滅のための大規模捜査開始か!?(相馬 勝)
最近、香港に行ったついでに日帰りでマカオにも寄ってみた。快速艇で1時間だから手軽だ。
午前中は丘の上に大きな門しか残っていない聖ポール天主堂跡や、ポルトガル植民地時代の名残を伝える南欧風の建物が建ち並ぶセナド広場など観光名所を廻り、ランチはポルトガル料理を食べた。ついでに、ポルトガル直送のワインも飲んだ。
[caption id="attachment_8212" align="alignnone" width="620"] 聖ポール天主堂跡(筆者撮影)[/caption]
マカオはもともとポルトガルの植民地で、1999年12月にポルトガルから中国に返還されているが、いまでもポルトガルとの結びつきが強く、いまだに色濃く残るポルトガル情緒が観光の売りになっている。
[caption id="attachment_8213" align="alignnone" width="620"] セドナ広場(筆者撮影)[/caption]
午後には、もう一つの売りのカジノが設置されている高級ホテルを訪れた。
どこもかしこも中国からの団体観光客だらけだ。飛び交っている言葉は中国語の標準語である北京語のほか、香港でも話されている広東語が主だ。すでにマカオは中国領での中国の特別行政区なので、中国人観光客が多いのは当然だが、最高級ホテルでカジノの広さが世界一という『ベネチアン・マカオ・リゾート』や『ギャラクシー』でも、中国人以外の客を探すのは難しいほどだ。
[caption id="attachment_8215" align="alignnone" width="620"] カジノの内部(筆者撮影)[/caption]
マカオ特別行政区政府によると、今年一月のマカオの観光客のうち、60%以上が中国本土からの観光客で約50万人に上り、年間では600万人にも達する。日本人は月間約2万人なので25倍だ。
マカオのカジノ収入は昨年335億ドル(約3兆3500億円)で、カジノの本場である米ラスベガスの5倍。単純計算で、カジノ収入の6割に当たる200億ドルは中国人観光客が落とした金額となり、1人当たり平均で3333ドル(約33万円)。
[caption id="attachment_8216" align="alignnone" width="620"] 豪華なホテル内の内装)[/caption]
中国国家統計局によると、中国の都市部住民の1人当たりの平均年収(2011年)は約1万6000元(約24万円)なので、マカオの中国人観光客は年収以上の金をカジノにつぎ込んでいることになるが、これは極めて非現実的だ。
明らかに富裕層がカジノに興じているのは間違いない。カジノではVIPルームがあり、筆者がみたところ、そこの客もほとんどが中国人だった。
ところが、中国人が本土から持ち出せる金額は年間5万ドルと決められているが、VIPルームでのバカラ賭博の掛け金は最低でも10万香港ドル(約120万円)といわれる。中国人民銀行は「マカオが非合法なマネーロンダリングの巣になっている」との報告書を公表しており、何からの非合法な金がマカオのカジノに流れ込んでいる可能性が高い。
[caption id="attachment_8217" align="alignnone" width="620"] 豪華なホテル内の内装[/caption]
「すでに、習近平指導部は発足後間もない昨年12月、マカオのカジノ関係者を取り調べており、近くマカオで『腐敗撲滅』を掲げた大規模な捜査が始まるとの情報が飛び交っている」と現地のジャーナリストは明らかにした。また、中国大陸の海南省でのカジノ開業を許可するとの情報もあり、マカオの政府やカジノ関係者は戦々恐々としているようだ。
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