ノーボーダー・ニューズ/記事サムネイル

どこまで本気か? 自民党版「事業仕分け」(藤本 順一)

今年度予算案が16日、衆院を通過した。同日参院に送付され、最悪でも5月15日には自然成立する。

「経済成長していくための予算であり、1日も早く成立させていただけるようにお願いしたい」

とは安倍晋三首相の弁。予算成立は早いに越したことはない。毎年繰り返される国会終盤に向けての政局劇は勘弁願いたいものだ。幸い安倍内閣は政権基盤が安定しており、野党にも政局を仕掛ける余裕はないだろう。国会の混乱を理由に安倍首相が衆参同日選に打って出れば、野党は壊滅的ダメージを被ることになる。せっかく明るい兆しが見え始めている日本経済の足を引っ張るようなマネをすれば、きっとそうなる。野党もその辺りは重々承知しているはずだ。

安倍内閣は一般会計総額92兆6115億円に上る今年度予算案に「国土強靱化」の大規模な景気刺激策を盛り込んでいる。大胆な金融緩和に続き、日本経済再生を掲げる安倍内閣が放つ“2本目の矢”だ。加えて6月にはアベノミクス「3本の矢」の最後の矢となる経済成長戦略の具体策が明らかになる。安倍政権の経済政策を評価するのは、それからでも遅くはなかろう。

もとより誰が政権を担ったとしても無駄な予算は削らなければならない。本欄はかねてより民主党政権時代の事業仕分けを活用するよう求めてきたが、自民党はこれに応え、週明けにも行政の無駄遣いを精査する特別ヒアリングチームを発足させる。当面は昨年度実施された國の事業のうち、転用疑惑が指摘された復興予算や原発事故関連事業を優先して精査する方針だ。

座長の河野太郎衆議は「十分に機能せず、効果のない事業は厳しくチェックし、廃止させる」と意気込む。

ぜひそうあって欲しいものだが、政府は無駄な事業であったとしても民主党政権のように事業の廃止までは考えてないようだ。自己否定につながるからだが、それではいつか来た道、かつての自民党に後戻りである。

そうならないためにも、衆院決算行政監視委員会や参院決算委員会など国会機能の権限強化で無駄な予算の削減を担保するしかない。安倍首相のやる気次第だ。

【ブログ「藤本順一が『政治を読み解く』」より】