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支持率6%でも改憲に走る安倍内閣への懸念(藤本 順一)

民主党の細野豪志幹事長は14日、安倍自民党が意欲を見せる憲法改正について「(民主党として)方向性を出し、参院選の前に示さないとこの国を誤ることになる」と述べた。

前日には同党の輿石東参院議員会長が「暮らし、雇用、憲法を新しい3Kと呼ぶならば、必ずこの三つは争点になる、そこを明確に訴え、必ず勝利する」と述べている。

勝てるかどうかは別問題だが、今夏の参院選は「国防軍」創設を目指す自民党と「軍事国家を目指す」日本維新の会との三つ巴の戦いとなるから改憲論争は避けては通れない。

憲法改正要件を緩和する96条改正で自民党と足並みをそろえる橋下徹共同代表は15日、「地方分権、地方分権と言っても40年、50年進まない。憲法を変えて本気で地方分権、道州制を進める」と述べ、地方自治体のあり方を定める憲法92条の改正を持ち出し、自民、民主両党との違いをアピールする。

憲法を改正すれば事足りるという安直な発想は誉められたものではないが、そのことも含め、今から論点を整理しておく必要はあろう。

最大の関心事はやはり9条の扱いである。たとえば、自民党の石破茂幹事長は14日のテレビ番組で弾道ミサイルの攻撃を未然に防ぐために自衛隊が敵基地を攻撃することは「自衛権として法的に確認されている」としながら、「実際にはその能力を持っていない。持つべきか、持たざるべきか。面倒だから避けておこうというのは誠実な姿勢ではない」と述べている。

現行憲法で敵地攻撃能力を持てると言うのなら、わざわざ9条を改正して「国防軍」を創設する必要はなかろう。ところが、自民党は自衛隊を国連軍に直接投入することまで視野に入れているから、現行憲法の枠には収まりきれない。

だが、朝日新聞社の直近の世論調査をみれば、安倍内閣を支持する層で50パーセントが「経済政策」を評価する一方、「憲法改正」を評価するのはわずか6%に止まっている。

それでも自民党が参院選に勝利すれば、安倍首相は高支持率を背景に維新勢力と手を結び、憲法改正に踏み出すはず。はたして民主党はどんな対立軸を打ち出してくれるのか。改憲論争は民主党の参戦で賑やかになりそうだ。

【ブログ「藤本順一が『政治を読み解く』」より】