参院選で自民党が怯える「維新・みんな」の共闘関係(藤本 順一)
夏の参院選に向けた各党の動きが慌ただしい。自民党は2日、党本部で参院選公約検討委員会と政務調査会正副部会長合同会議を開催し、公約作りに着手した。目玉候補として体操五輪金メダリストの塚原光男(65)氏や元東京地検公安部長でタレント弁護士の若狭勝氏を擁立する。
最大の関心事は言うまでもなく、衆参ねじれ国会の解消ができるかどうかだ。追い風に乗る自民党は「31の1人区で自民党が25勝したら衆参で過半数を取って堂々と船をこぎ出していける。選挙区の公認候補を選び損なうことがなければ必ずできるはずだ」(麻生太郎副総理兼財務相)と意気込む。
そのカギを握るのが岡田克也元民主党代表のお膝下、三重選挙区と小沢王国の岩手選挙区での戦いぶりだ。三重では女性新人候補の吉川有美(39)を民主現職で4選を目指す高橋千秋氏(56)にぶつける。また、岩手については独自候補の擁立を目指す一方、先に民主党を離党し、無所属での出馬を表明した現職の平野達男前復興相を支援することも検討しているようだ。
一方、民主党にとって平野氏の離党は不戦敗を意味する。加えて三重で議席を失うことになれば、民主党崩壊の引きがねになるかもしれない。
もっとも自民党からすれば、手強いのは民主党ではなく、先の衆院選で大量の比例票を獲得して躍進した日本維新の会とみんなの党だ。参院選は衆院選以上に人気や風の影響を受けやすく、比例区の投票数がそのまま選挙区に横滑りしやすいからだ。すでに両党は1~3人区(44道府県)のうち25選挙区で候補者一本化に合意しており、今後も選挙協力を加速させる模様。また、日本維新の会の橋下徹共同代表は30日の党大会で「自民党はやはり既得権だ。自民党、公明党の過半数阻止を絶対やらなければいけない」と述べている。
そうであれば自民党との間で保守層を食い合うから、民主党が浮かび上がるとの見方もあろうが、今の民主党ではそれさえ望み薄だ。かくして参院選後、自民、公明両党が過半数に達しない時は、日本維新の会やみんなの党を加えた連立政権が誕生する可能性も出てこよう。あるいは、国会で3分の2の勢力を上回るようなことになれば、その先にはもちろん憲法改正が待っているのだが。
【ブログ「藤本順一が『政治を読み解く』」より】