死ぬに死ねない石原慎太郎とナカソネ&ナベツネの存在価値(藤本 順一)
「どうせみんな早く石原が死ねばいいと思っているんだろ? そうはいかねえぞ。俺が死んだら日本は退屈になるぞ」
脳梗塞で倒れ、去就が注目されていた日本維新の会の石原慎太郎共同代表(80)は30日の記者会見でこう述べ、笑いを誘った。
さすがに「早く死ねばいい」とは思わないが、約1ヵ月間に及んだ入院が意味するところはいわずもがな。
石原氏はまた憲法改正について、党綱領の原案になかった「占領憲法の大幅改正」の項目について「骨太のものにしたいということで手を入れた」と自ら主導したことを強調し、存在感をアピールしてみせた。しかしながら、もはや、今の石原氏に政治家として健康問題以外の存在価値はないに等しい。晩節を汚さず、潔い出所進退を求めたい。
確か先週、衆院議長公邸で開かれた自民党二階派(志帥会)の現役・歴代幹部の昼食会に同派最高顧問の中曽根康弘元首相(94)が出席している。今なお、その振る舞いかくしゃくとして弁舌もお達者であったそうな。近く派閥例会に出席して若手議員に政治家としての心得や憲法改正などをテーマに講演する予定だとか。大正7年生まれで5月に満95歳を迎える。政界を引退したのが10年前だが、その発言はバッジをハズしてからの方がよりいっそう重みを増したようにみえる。
ちなみに石原氏は作家として芥川賞の栄誉に輝き、台湾政府からは「特殊大綬景星勲章」が授与されている。石原氏も長生きすれば“ミニ中曽根”くらいにはなれるだろう。
そういえば、中曽根氏の盟友で石原氏とも親交厚い“ネベツネ”こと読売新聞の渡辺恒雄氏(86)が3週間ほど前、緊急入院したそうだ。こちらは元勲には及ばないがマスコミ界のドンにして勲一等旭日大綬章者。最近、本社で健在を目撃されているから、事なきを得て何より。
【ブログ「藤本順一が『政治を読み解く』」より】