労組に負けて問われる橋下徹大阪市長の統治能力とチンピラ体質(藤本 順一)
大阪府労働委員会(府労委)は25日、大阪市が昨年2月、職員の政治活動や組合活動の実態調査を実施したことを不当労働行為と認定し、「今後このような行為を繰り返さない」とする誓約書を大阪市労働組合連合会(市労連)など4労組に提出するよう命じた。
これを受けて市労連と弁護団は記者会見で「市長のやってきたことが間違いだとはっきりした」と勝利宣言した。
実態調査は橋下徹市長の意向で行われたもの。約3万4千人の職員を対象に氏名や職員番号、所属を明記させ、職員労組への加入状況や組合活動、政治家の支援活動への参加経験など22項目への解答を市長の業務命令で指示し、解答を拒否した職員を処分対象とすると通知した。もとより、こんな人権無視の業務命令が認められるわけがない。労働委員会の判断は当然である。橋下市長もこの日午前、「府労委の判断に異議はない。不当介入は申し訳なく、労組側に謝罪したい」と反省の弁を述べていた。
ところが組合の記者会見を伝え聞いた夜には態度を一変させ、「ボクは第一声で謝罪したのに、大人の駆け引きがわからない組合執行部は本当に情けない。学生運動のノリで、弁護士もまったくダメ。対立でいくなら、雇用の確保をボクにお願いされても困る」と組合への敵意剥き出しの「逆ギレ」発言。組合が選挙でビラ配りしていたことなどを取り上げ、「自らの非を全部棚に上げて正義づらするのはおかしい」と述べ、分限免職、つまりはクビにするぞと脅しているのだからチンピラヤクザと変わりない。今後、橋下市長は府労委の判断を不服として中央労働委員会に再審査を申し立てるか、命令取り消しの行政訴訟を起こす構えだ。だったら謝罪しなければいいものを。組合の記者会見が気に入らないからといってケンカ腰になるのでは、大人気ないのはむしろ橋下市長の方ではないのか。
職員の信頼を失えば、行政サービスにも悪影響が出よう。市長としての統治能力が問われるところだ。
同じ日、橋下市長が共同代表を務める日本維新の会は大阪と東京を結んだテレビ会議を行っている。冒頭、大阪側代表の橋下市長は「東京と大阪のコミュニケーション不足が謂われている。新しい通信手段を使い、コミュニケーションをとっていきたい」と述べた。
市の職員ともぜひ、自ら進んで胸襟を開き、膝詰めのコミュニケーションをとってもらいたいものだ。
【ブログ「藤本順一が『政治を読み解く』」より】