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【速報コラム】最高裁、水俣病:Fさん訴訟、溝口訴訟(おしどりマコ)

今日は一日中、最高裁にいました。

水俣病のFさん訴訟と溝口訴訟。

 

Fさん訴訟の弁護士さんは大阪で何度か一緒に飲んだ仲良しの先生。

溝口訴訟の弁護士さんは去年、飯舘の方々と水俣に行ったときにお会いして

いろいろお話を伺った先生。

今日、最高裁に行って、知りました。

 

Fさん訴訟の原告は、3月3日にお亡くなりになったのです。

3月4日に大阪に行き、弁護士さんとお話をしたとき、

「昨日、お亡くなりになったよ…」と聞いてガックリしました。

 

判決は4月16日に出ます。

 

これは異様に早いの。

判決文が出るのは、どんなに早くても3か月、

普通6ヶ月くらいかかるそう。

 

つまり、最終弁論の前に、もう、判決は出ていて、

判決文もできているのだろう、という弁護士の先生方の予想でした。

なんだかな。

 

それについて、ちょっと調べたいことがあるので、

ガッツリ記事にまとめるのは後程にいたします。

 

判決があまりにも早いので、

溝口訴訟の山口弁護士が

「そんな拙速に判決を出さずに、時間をかけて考えてください!」

と最後に声をかけると、裁判長は

「判決文を読んでください」とお答えになって。

 

心の中で思わず「もう判決文できてるんちゃうのん!」とツッコミました。

 

Fさん訴訟は一審(大阪地裁)勝訴→控訴審(大阪高裁)敗訴最高裁

溝口訴訟は一審(熊本地裁)患者側敗訴→控訴審(福岡高裁)勝訴最高裁

 

と展開は異なります。

 

が、共通しているのはFさんも溝口さんも

自分一人のためではなく、

切り捨てられた水俣病患者のために裁判をしているところ。

 

52年判断条件といわれる

「後天性水俣病の判断条件」(1977、S52、環境庁策定)

これは国が患者切り捨ての道具としてきたといわれています。

限定した症状の組み合わせのみ、水俣病と認定していくことが決まったため

魚貝類をたくさん食べ、様々な症状が出ても、

切り捨てられた患者さんがたくさんおられるのです。

 

この52年判断条件は合理的な正当性があるのか。

この問題も、Fさん訴訟、溝口訴訟の大きなテーマの1つなのです。

52年判断条件の正当性が否定されれば、たくさんの患者さんが救済されるので。
でも、救済、といっても、ほとんど亡くなっておられて。

Fさんもお亡くなりになったし、溝口訴訟といっても、

溝口秋生さんの亡くなったお母さまの訴訟なのです。
Fさん訴訟の弁護士さんも言っておられたけど、

訴訟に勝ったとしても、Fさんや溝口さんにメリットはほとんど無い。

今より気持ちが少しだけ、納得するだけ。

水俣病なのに、水俣病じゃない、と言われているからね。

なのに、なぜ闘うか、と言ったら。
納得がいかないから。

そして、闘うこともできなかった、

切り捨てられた水俣の他の被害者たちの想いも背負っているから。
と、溝口秋生さんが言っておられました。
しかし、一か月という判決が出るまでの短さを考えると、

Fさんと溝口さんは勝訴して、

52年判断条件については、正当性を問うことは最高裁はしないのではないでしょうか。
溝口訴訟の山口弁護士は

「たとえ、裁判で勝ったとしても、

52年判断条件を否定されなければ、全面勝訴にはならない」

と、はっきりおっしゃっておられました。
弁論でもおっしゃっておられたけど

「日進月歩の医学の中で、35年も前の判断基準を使い続けるのはおかしくないか」

私もそう思います…
溝口秋生さんは弁論の最後にアドリブで

「裁判の期間が20年というのは長すぎます、

寝床の中で毎晩裁判のことを考えます。

20年もかかるということは、

裁判をするなということと同じです」

とおっしゃっておられ、涙が出ました。
Fさんはお亡くなりになっておられて、代わりに娘さんが来られていました。

裁判所の外でお話を伺うと、

「母と今まで二人三脚できました。今日は、母の指輪をしてきました。

母にも聞かせたいと思って。早く気持ちを楽にさせてあげたかったです。」

と何度もハンカチで目をおさえながら話しておられました。
去年、飯舘村の方々と水俣に伺ったときに、

知り合いになった熊本の記者さんがたもいらしていて、

そのうちのお一人がFさんの娘さんに

「これは水俣のお漬物です、どうぞお母さんに」とお渡しされていました。

Fさん親子は関西にお住まいなのです。

娘さんはそのお漬物が入った紙袋をご覧になって

「ああ懐かしい!」とニッコリされておられました。
Fさん訴訟の弁護士さんと溝口訴訟の弁護士さんが

「あとでまた資料を送るから!」と言ってくださったので

また裁判の内容など詳細は後程まとめますが、とりいそぎ。
Fさん訴訟で環境省が佐藤医師に証言を曲げる要請をしていた件も

きっちりまとめたいと思います!!