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海外メディアは「東日本大震災・原発事故から2年」をどう伝えたか?(大貫 康雄)

東日本大震災と東京電力福島第一原発事故から2年。いくつかの海外メディアは、(1)官僚主義が、復興作業と被災者・被害者支援を遅らせている。(2)原発事故・放射能の危険性が過小評価され、被害者切り捨ての動きが進行し、被害者は二重の被害者になりつつある。(3)一方で、被災地以外で風化・無関心が拡大している。(4)それらの背後に政府の誤魔化しがあり、被災者・被害者の政府への不信が見えている。など深刻な現状と問題を指摘している。

官僚主義の弊害を重点的に指摘しているのは『WSJ(ウォール・ストリート・ジャーナル)』で、米国版、日本版ともほぼ同じ内容で読んだ人も多いだろう。

『WSJ』は、紋切り型に規制を押し付けようとする融通の利かない官僚主義と指導者の指導力(リーダーシップ)の欠如が復興を遅らせている要因だと指摘。復興資金は政府(官僚機構)の紐付きで、地域ごとの現地の特性・事情を考えない官僚主義の煩雑さに復興計画が大幅に遅れるのを余儀なくされていることなどを記している。

また米国版では、除染の遅れ、地域再建の遅れ、故郷に帰れる当てもない原発事故被害者の生活、東京などでの反原発抗議行動、福島の原発事故被害者800人が国と東京電力を相手に訴訟に立ち上がったことなどを18枚の写真で紹介。

ヨーロッパのメディアはチェルノブイリ原発事故を経験し、脱原発政策を進める国が多いせいか、除染作業の根本的な問題点を鋭く指摘する報道もある。

ベラルーシ、ウクライナとともにチェルノブイリ原発事故の深刻な放射能被曝を経験したロシア。そのロシアのインターネットラジオ『VOR(ロシアの声)』」は東京電力や関連企業の杜撰な管理で、原発作業員の被曝量が記録より遥かに高い深刻なレベルに上っていることを指摘している。

原発大国フランスのラジオ『RFI』は、原発事故から2年目にしては反原発の抗議行動への参加者が少ない、ヨーロッパのような環境保護政党が創設され得ない、などの日本社会の現状を述べている。

『RFI』は福島の人々にガンの危険性が高まっているとWHO報告を受ける形で報じている。

フランス国営テレビ『F2』は1年前、“日本は先端技術を持っていても満足・的確に使えない国”などと報じていた。今年は記者が川内村に入り、“半分の地域で除染が完了したとして村の人たちに帰還が呼びかけられているが住宅に人影はない”と報じ、その背景を伝えている。

つまり人々は、安全が確認されたわけではなく、「除染完了」という政府の言い分を信用していない。また、村に戻っただけでは生活再建のめども立たないのに、戻ると補助や支援が打ち切られるという外部の者には見えにくい被害者切り捨て政策の一端を指摘している。

『F2』は、スタジオで解説委員が日本では早くも原発再稼働への動きが見えており、また日本周辺アジア諸国では大幅な原発建設計画があると少し皮肉的に伝えている。

脱原発を進めるドイツ第二公共テレビ『ZDF』は1年前、“真相を伝えず、政府広報機関と化した日本のマスコミ”を厳しく批判し、原子力村の工作を指摘する特集「フクシマの嘘」を報道し多くの日本人に影響を与えた。

今年は東アジア総局長のハーノ記者が福島第一原発から20km圏内の富岡町の警戒区域にマスクと防護服姿で制限時間内の間入り、原発作業員にインタビューしている。

その中で作業員は、事故を起こした原発は一応安定しているが、冷却装置は即席で作られたもの。*今なお不安定で予断を許さない状態であることを警告している。4号炉では奇跡的に救われた使用済み核燃料を今年中に取りだすことにしているが、*事故を起こした4基の原発の廃炉作業は早くて30年から40かかること、*各地で除染作業が進められているが、高濃度放射能廃棄物の保管場所も保管方法も見つかっていない、*第一原発の現場では高濃度汚染水の貯蔵タンクの置き場も数年で満杯になる、などを指摘し、原発事故収束への出口が見えない状態を報じている。

『ZDF』は2月末にもハーノ記者が福島市の住宅街、渡利地区を訪ね、“除染”したものの、放射能汚染土を保管する場がなく、住宅の庭先にビニールシートをかけただけで放置し、人々は放射能汚染土と隣り合わせで生活せざるを得ない現状を報じている。

また山間部の田村市の放射能汚染土の埋め立て現場を紹介しながら、*日本のような先進国でも安全にするまでの除染は不可能である、*放射能は立ち入り禁止区域や警戒区域を遥かに超えた広い地域に広がっている、*福島市の中心部でも40μSv/hという、もはや“核廃棄物の数値”というべき高い線量が計測されるなどホット・スポットが至る所に点在している、と指摘している。

ヨーロッパのメディアの中でも福島第一原発事故による放射能汚染の深刻さと被曝の危険性をひときわ鋭く指摘している一つはドイツ国営国際放送『ドイチェ・ヴェレ・DW』で、DWの論調は別で紹介したい。

【NLオリジナル】