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NLキュレーション「東日本大震災特集」(再掲載/福島県・川内村「帰村宣言」の村を行く/村上隆保)

福島第一原発から20km圏内に村の一部が含まれ、全村避難していた川内村。その村に「帰村宣言」が出されたのは2012年1月末のことだった。そして、4月になると郡山市に移されていた村役場や小学校なども再開し、今、避難していた村民が少しずつ戻りはじめている。

川内村の遠藤雄幸村長が「帰村宣言」をした理由は、同じように全村避難している〝他の自治体より比較的放射線量が低い〟からだという。本当に安全なのだろうか? そして実際の放射線量はどれくらいなのだろうか? その真実を知りたくて、川内村を取材してみた。

私の持っている線量計はロシア製RADEX社のRD1503。教育現場などでも使われるポケット測定器だ。この線量計とモニタリングポストの数値がどのくらい違うのか。まずは郡山駅に設置されたモニタリングポストと比較してみた。

郡山駅のモニタリングポストの数値は「0.441」

私の線量計の数値は「0.43」

それほど大きな誤差はないように思える。

次に川内村役場のモニタリングポストの数値を見ると「0.197」

私の線量計の数値を見ると「0.20」。やはり、ほぼ同じ数値だ。私の線量計とモニタリングポストの数値に大きな誤差はない。

そこで、川内村に設置された26のモニタリングポストの中から、できるだけ一部地域に重なることがないよう村の中心地と端にあるモニタリングポストの数カ所をピックアップして線量を測ってみることにした。

川内村小学校
モニタリングポストの数値は「0.115」
私の線量計の数値は「0.22」

第6集会所
モニタリングポストの数値は「0.267」
私の線量計の数値は「0.28」

第8集会所
モニタリングポストの数値は「0.210」
私の線量計の数値は「0.28」

木の葉橋
モニタリングポストの数値は「0.197」
私の線量計の数値は「0.37」

貝の坂
モニタリングポストの数値は「1.425」
私の線量計の数値は「1.77」

全体的にモニタリングポストよりも私の線量計のほうが少し高めの数値だった。

川内村のモニタリングポストを回って感じたのは、村の中心部にある、小学校や集会場などの人が多く集まる場所は、除染されていたらしく地面の土が真新しいものだった。そのため線量も比較的低い数値が出ている。

しかし、村の中心部から少し離れた緑が生い茂っている場所は、除染されていないからなのか高めの数値が出ている。

実は貝の坂のモニタリングポストに行くために山の中を通ったのだが、0.6に設定していた線量計のアラームが車の中だったのにもかかわらず鳴りっぱなしだった(貝の坂のモニタリングポストの数値が1.4を超えているのだから、それも当たり前だと思うのだが……)。

「帰村宣言」を出した川内村。ふだん村民が生活する範囲内(学校や村の中など)は、低い線量を示しているが、山の中などの線量は、まだまだ高いようだ。子供たちは、山の中に入って遊ばないように注意したほうがいいだろう。

民家などは庭の木を切ったり、土を除染していたりしたが、村の中心部で除染されていない場所(バス停の前)を測ってみたら、0.50だった。

村の中心部でも除染されていない場所の線量はこの程度の数値なのだと思う。この数値で生活していて安全なのかどうかは、専門家に聞いてみないとわからない。

「帰村宣言」が出され、少しずつ村民が戻り始めている福島県・川内村。できれば、専門家が全村の土地の線量をできるだけ詳しく調査して、安全の確認を改めてしてほしい。

(NewsLog編集部:この記事は2012年5月に発表したものを再掲載したものです)

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