ノーボーダー・ニューズ/記事サムネイル

またお友達人事!? 黒田元財務官の日銀総裁起用(藤本 順一)

懸案だった白川方明日銀総裁の後任に元財務官の黒田東彦アジア開発銀行総裁が起用される見込みだ。

財務省出身で国際金融界に幅広い人脈を持つ黒田氏は安倍晋三首相が主導する金融緩和策のよき理解者である。

また、麻生太郎副総理兼財務相が金融担当相を兼務していることからも分かるように、後任の総裁には財務省とも十分に意思疎通をはかるらなければならない。このため、早い段階から黒田氏と共にこれも財務省出身(元事務次官)で前日銀副総裁の武藤敏郎大和総研理事長も有力視されていた。しかしながら武藤氏は財政再建派の牙城ともいえる財務省主流の主計局の色が強すぎたことで候補から消える。

一方、黒田氏は安倍首相が父親で外相だった故・晋太郎氏の秘書時代からの付き合いで親しい関係にある。安倍周辺によると、小泉政権下の05年、財務省を退官し、しばし不遇をかこっていた黒田氏がアジア開発銀行総裁の地位を得たのは当時、ポスト小泉の有力候補だった安倍首相の後押しがあったからという。情実人事との批判もあろうが、それを差し引いても余りある人選だ。

さて、国会は26日、今年度補正予算案が参院で採決される。また、政府与党は安倍首相の施政方針演説など政府4演説を28日に行うとしており、いよいよ来年度予算案が本格審議入りする。併せて黒田氏の他、日銀の2人の副総裁人事や公正取引委員会に杉本和行元財務次官を充てるなど国会同意人事を早期に採決したいところだが、参院で過半数を握る野党の出方次第では補正予算の執行が大幅に遅れることになる。加えて日銀総裁の後任人事で躓けば、上向きかけた景気回復の芽を積みかねない。

民主党は24日、野党転落後初の定期大会で自らを「改革政党」と位置づけ、「党の存亡を賭けた重大な政治決戦。与党の過半数阻止に全力で取り組む」とする13年度活動方針案を了承した。

それが党利党略の何でも反対の野党なのか、それとも国民の生活を第一に考えた責任野党の道なのか。もちろん、国民有権者は冷静な国会対応を求めているはずだ。

【ブログ「藤本順一が『政治を読み解く』」より】