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仰天!福島県立医大を去る山下教授が栄誉ある賞を受賞(おしどりマコ)

2013年1月27日、東京国際交流会館にて、放医研のシンポジウムが行われた。
第2回国際シンポジウム「東京電力福島第一原子力発電所事故における初期内部被ばく線量の再構築」である。

現在、評価がされていない、原発事故直後の短半減期核種の初期被ばくを再構築するもので、
日本、ロシア、アメリカ、フランスの研究者が出席し、発表をした。

冒頭の開会式と、放医研の栗原治氏の発表「初期内部被ばく線量推計」のみ撮影可で、
その模様はおしどりチャンネルにあげているので、ご覧頂きたい。

開会式(電波状況が悪かったため、音声悪し)
http://live.nicovideo.jp/watch/lv124156684

放医研、栗原治氏「初期内部被ばく線量推計」の発表(電波状況が悪かったため、再配信)
http://live.nicovideo.jp/watch/lv124240249
シンポジウムの発表をまとめる前に、出席していた研究者から、記事に書いてほしいという情報を渡されたので先にそちらを出す。

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それは、福島県立医科大の山下俊一教授が栄誉ある賞を2つ受賞してから、
2013年3月に福島県立医科大を去るというのだ。

山下俊一教授がこの3月に去るということは既知だったが、受賞に驚いた。

一つは武見記念賞。これはすでに2012年12月20日に授与されている。

http://www.nagasaki-u.ac.jp/ja/about/info/news/news1149.html

これは日本医師会会長、世界医師会会長を歴任した武見太郎という医師の名前を冠した賞で、医師として名誉ある賞とのことだ。

受賞理由はこうである。
「福島第一原発事故による県民の放射線被ばくと健康に関する情報の発信をはじめ、
県民の被ばくリスクの低減に向けた行政へのアドバイスに取り組み、
事故後の危機管理への大きな役割を果たしたこと。
さらに全県民を対象とした健康管理調査を立ち上げ,
県民の健康を守るための体制づくりへの多大な貢献が評価された。」

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もう一つは、NCRP( National Council on Radiation Protection and Measurements 、米国放射線防護・測定審議会)
においてSinclair基調講演の栄誉を得たというのだ。
NCRP二代目議長のWarren K. Sinclair博士の基金による、その名を冠した基調講演は放射線防護の分野において、
ノーベル賞に匹敵するといっても過言でない栄誉だという。
2013年3月11、12日のNCRPの年次総会においての、
第10回Sinclair基調講演に山下俊一氏が選ばれたということだ。

http://www.ncrponline.org/

http://www.ncrponline.org/Annual_Mtgs/2013_Ann_Mtg/Yamashita-WKS.pdf

※補足

NCRPで基調講演に選ばれることが、放射線防護の分野でどれくらいの栄誉か、質問がきたので補足する。

NCRPは1929年にLauriston.s.Taylorによって創立され、
1964年に米国議会によって「NCRPは放射線防護と測定に関する事項について指導すべきこと」と定められた。

ICRPは1950年に創立された委員会であるが、その初代議長も Lauriston.s.Taylorである。
ICRP(国際放射線防護委員会)で出している放射線防護の勧告に、原子力業界は準拠している。

日本でも、放射線障害防止法、電離放射線障害防止規則などの放射線防護に関わる国内法は
ICRPに準拠しており、新しい勧告が出るたび、取り入れの議論が行われている。 

(余談だが、昨年1月に施行された「除染電離則」について、除染に関わる全ての方々に周知されることを筆者はのぞむ。)
http://www.jaish.gr.jp/anzen/hor/hombun/hor1-2/hor1-2-216-m-0.htm 

つまり、NCRPとICRPの初代議長は同一人物、Lauriston.s.Taylor氏なのである。

NCRPの年次総会で、初代議長Lauriston.s.Taylorの名を冠したTaylor基調講演と
2代目議長Warren K. Sinclairの名を冠した Sinclair基調講演が行われ、
それに選ばれるということは、放射線防護の分野で、大変な栄誉なのである。 

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この件を話した研究者は、
「彼は、放射線防護に成功したんでしょうか?
私が、福島に行ったときに住民から聞く話と、非常に異なります。
アメリカなど海外にはそういう話は伝わっていないのでしょうね、
いや、恐らく日本でも、福島以外にはあまり伝わってないのかもしれません。
ちゃんと記事に書いてください。彼が賞に値すべきかどうか、問いたい。
NCRPにも、みなさん問えばいい。」


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武見記念賞の受賞理由を福島の住民に伝えると
「もう笑うしかないね、全部反対のパラレルワールドみたい!」
という感想だった。

もう一度掲載する。

「福島第一原発事故による県民の放射線被ばくと健康に関する情報の発信をはじめ、
県民の被ばくリスクの低減に向けた行政へのアドバイスに取り組み、
事故後の危機管理への大きな役割を果たしたこと。
さらに全県民を対象とした健康管理調査を立ち上げ,
県民の健康を守るための体制づくりへの多大な貢献が評価された。」

県民健康管理調査検討委員会が、秘密会で見解のすり合わせをしていた件で
座長の彼の責任はどうなったのか?

原発事故直後、
100マイクロシーベルト/hを超さなければ、全く健康に影響及ぼしません。
ですから、もう5とか10とか20とかいうレベルで外に出ていいかどうかということは明確です。
昨日もいわき市で答えられました。
『今、いわき市で外で遊んでいいですか』『どんどん遊んでいい』と答えました。
福島も同じです。心配することはありません。是非、そのようにお伝えください」

と福島県主催の講演会で発言し、

「ミスター100mSV」というあだ名までついているではないか。

http://www.youtube.com/watch?v=PuwFrNEgDTg

なお、福島県の公式サイトでは2011年3月22日付更新で

質疑応答の「100マイクロシーベルト/hを超さなければ健康に影響を及ぼさない」旨の発言は、「10マイクロシーベルト/hを超さなければ」の誤りであり、
訂正し、お詫びを申し上げます。ご迷惑をおかけし、誠に申し訳ありません。

と訂正している。

http://wwwcms.pref.fukushima.jp/pcp_portal/PortalServlet;jsessionid=F13F0C897CCA9EB05695E5544D0899E3?DISPLAY_ID=DIRECT&NEXT_DISPLAY_ID=U000004&CONTENTS_ID=23695

実際にこの講演会に出席した保護者から話を伺ったことがある。

「100μSV/hと10μSV/hを間違えるなんて、
『迷惑』などというなまやさしいものではなく、『殺人』です。
私は事故直後、放射線のことは全然わからなかった。
数字を言われても見当がつかなかった。
だから専門家の講演を聞いて知ろうと思った。
そして、よかった、16μSV/hは低いんだ、
うちは大丈夫だ、と思ってしまった。
あとで、間違いでした、ご迷惑をおかけしました、って……
これは、殺人です」

行動記録の健康調査も県民の提出率が悪いのは、座長の山下俊一氏への不信感があるからという意見もある。

あらためて、受賞理由を読むと、「全て逆のパラレルワールド」と表現されるわけがよくわかる。

[caption id="attachment_6406" align="aligncenter" width="620"] 飯舘村の長谷川健一氏は、健康管理調査票に「私は山下俊一のモルモットにはならない」と大きく書いて送り返したという。長谷川氏はこの写真を記事に使うことを快諾してくださった。[/caption]



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そして、山下俊一氏は、医師としての賞、武見記念賞と、
放射線防護の研究者としての栄誉、Sinclair基調講演を与えられ、
福島県立医科大学を去る、というのである。

(ニコニコ動画 おしどりチャンネル 2013年1月27日ブロマガ)
http://ch.nicovideo.jp/oshidori/blomaga/ar66977