現役世代に酷税強いる安倍政権の税制改正大綱(藤本 順一)
日本経済の浮沈を握る「日本経済再生本部」が8日、初会合を開いた。注目はこの日決定した今年度補正予算に盛り込む緊急経済対策の概要である。
規模にして総額20兆円を越える見込みで、地方自治体と民間企業の負担分を差し引いたおよそ13・1兆円の補正予算案を編成する。09年のリーマン・ショック後、麻生内閣が景気対策として編成した補正予算案13・9兆円に迫る過去最大規模の財政出動である。
このうち、景気刺激の特効薬となる公共事業は5・2兆円で老朽化著しい道路、トンネル、鉄道などの改修や復興、防災対策に3・7兆円を計上し、残りの1・4兆円は交付金として地方自治体が進める公共事業の財源不足を補う考えだ。
緊急経済対策の骨子には民主党政権時代の「縮小均衡の分配政策」から「成長と富の好循環」への転換で「強い経済を取り戻す」とある。是非、そうあって欲しいものだが、公共事業5・2兆円の財源となるのは建設国債、つまりは国民への借金付け回しである。それで所得が増え、雇用が安定すればいいのだが、こればかりはやってみなければ分からない。
「公共事業中心ではなく、民間の設備投資を活性化させるための投資現在などをメーンとすべきだ。カンフル剤を打って景気浮揚させないと参院選に負けるという発想で借金を重ねる財政運営には反対だ」(江田憲司みんなの党幹事長)との主張にも肯けよう。
付け加えるならば、家計部門の減税措置も必要だ。周知のとおり、この一月から所得税に加えて復興特別税が給料袋から天引きされる。民主党政権にむしり取られた扶養控除もそのままだ。自動車やバイク保有者への加入が義務付けられている自賠責保険の保険料も4月から15%と引き上がられるようだ。さらには来年4月からは消費税が8%。現役世代にとってはリンチにも似た税負担である。
自民、公明両党は9日、与党税制協議会の初会合を開いた。24日には14年度税制改正大綱を取りまとめる。
現役世代にもやさしい税改正をお願いしたい。
【東京スポーツ「永田町ワイドショー」1月9日入稿原稿)より】