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厚労省老健局長に聞いた介護の課題(町 亞聖)

ラジオNIKKEIの取材で、厚生労働省の宮島俊彦老健局長に、2012年の介護保険の改正点や「地域包括ケアシステム」の課題などをインタビューしました。

「地域包括ケアシステム」とは、医療と介護がきちんと連携して、住み慣れた地域で適切な生活支援が受けられるようにするというものです(当たり前のことなんですが)。

そのために24時間対応の定期巡回、随時対応サービスなど「在宅介護」を支えるための体制の強化をしていくそうです。

また認知症の新対策として注目される、看護師や作業療法士などが認知症が疑われる高齢者宅を訪問する「初期集中支援チーム」についても話を聞いてきました。

在宅を推進するにせよ、支援チームを作るにせよ、課題は沢山あります。訪問看護や在宅医療に携わる担い手が圧倒的に不足していますので、人材確保や育成が急務です。

また遠距離介護や老老介護の場合など、どうしても施設を選択せざるを得ないケースがあります。

介護サービス付き高齢者住宅や小規模多機能型など、施設サービスは複雑化している上に"地域"にこだわるために、住民票がないと利用できないグループホームやケアハウスなど、自分で決めて選べるはずだった介護保険に矛盾が生まれています。

利用者に分かり易く説明し介護を受ける人のニーズに合わせて利用が出来るようにお願いしました。

また介護が理由で離職する人が一年間に10万人を超えていて、介護する人の支援も大きな問題です。介護と仕事の両立を可能にするためには、現在の介護保険では限界があることを宮島局長も認めていました。

介護する人の人生もサポートする体制作りはもっと充実させなければなりません。社会や会社が柔軟に対応するという"発想の転換"が、いま求められているのではないでしょうか。

介護される人もする人も、介護で大切なのは「人」だと改めて実感しています。

【プログ「As I am(2012年7月1日)」より】