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比例で伸び悩む安倍自民の危険思想と有権者の良識(藤本順一)

衆院選がいよいよ4日、告示となる。選挙結果を占う世論の動向が気になるところだ。朝日、読売の2大紙が告示直前に実施した世論調査では、衆院比例区の投票先はトップの自民が朝日20%(前回調査より3%減)、読売19%(同6%減)だった。これに対して民主党は朝日15%(同2%増)、読売13%(同3%増)で支持を伸ばしている。
自民党が支持を減らしたのは言うまでもなく、「国防軍」や「日銀法改正」などに象徴される安倍晋三総裁の過激な発言がもたらしたものだ。自民党支持層が安倍総裁の首相としての資質を疑問視したからに他ならない。先の総裁選予備選、地方票で石破茂幹事長に敗れ、議員票で石原伸晃前幹事長に敗れたのも同じ理由である。
タラレバの話をしてもしょうがないが、自民党が谷垣禎一総裁のまま選挙に挑んでいれば、穏健保守・中道の幅広い支持を得て圧勝していたことだろう。悔やまれるところだ。
さてもう一つ、世論調査の注目は第3極、安倍自民党より以上にタカ派色を前面に出す維新の数字は朝日9%で前回と変わらず、前回2位の読売は13%(同1%減)で民主に並ばれ、一時の勢いはない。
選挙目当てで合体した橋下徹大阪市長と石原慎太郎前東京都知事の2人が原発政策で正反対の発言をしているのだから有権者は戸惑うのも当然だろう。
また、第3極の未来にしても「卒原発」をめぐる嘉多由紀子代表の発言がブレまくり、小沢支配への批判も影響したのか世論調査は朝日3%、読売5%に止まっている。ちなみに前回調査、未来への合流前の生活と減税合わせて朝日4%、読売3%だったから新党効果は無いに等しい。
これも理由ははっきりしている。財源問題をあいまいにしたまま、子育て支援31万2千円のバラマキ政策を選挙公約の柱にするようでは社民、共産の二番煎じである。国民の幅広い支持を得ることはできない。「卒原発」を掲げる未来に有権者が期待するのは再稼働や代替エネルギー、核のゴミ処理問題も含めた具体的な政策を掲げて自民、民主の2大政党との堂々の論戦だ。第3極政党それぞれが得意の分野を生かした選挙戦を期待する。

【東京スポーツ「永田町ワイドショー」12月3日入稿原稿)より】