ノーボーダー・ニューズ/記事サムネイル

「未来の党」100議席が安倍タカ派政権の抑止力になる(藤本順一)

既報どおり、嘉田由紀子滋賀県知事が27日、「卒原発」を掲げて新党「日本未来の党」の結成を表明した。これを受けて「国民の生活が第一」(小沢一郎代表)がその日のうちに同党への合流を決めている。さらに「減税日本・反TPP・脱原発を実現する党」(河村たかし・山田正彦両共同代表)ら非維新の第3極新党が「日本未来の党」の下に結集する予定だ。加えて「日本維新の会」との合流話が不調に終わった「みんなの党」の渡辺善美代表とも政策協議中とのこと。うまく行けば、選挙戦の構図をガラリと変える「台風の目」になるかもしれない。

嘉田知事は同日の記者会見で「未来をつくる結集軸」、いわゆる選挙公約として原発稼働ゼロから全原発廃炉の道筋をつくる「卒原発」に加え、「女性の活用」「安心・安全社会の実現」「消費税増税の前に徹底した無駄削除」「脱官僚」「品格のある外交」を政策の柱に掲げている。特に「卒原発」については「ドイツ並みに10年。政権を取ったら実現する」とし、隣接する福井県敦賀市の高速増殖炉「もんじゅ」の即刻廃止を訴えている。

一方、「卒原発」以外の政策については安保防衛政策を含めて政党として確たるものがあるとも思えないが、次期衆院選で原発政策が争点の一つになることを歓迎したい。何より、新党乱立に困惑していた国民有権者もこれで頭の整理ができたのではなかろうか。

大まかに言えば、次期政権の絵柄は民主、自民、日本維新、未来の四つの政党の組み合わせで決まるわけだ。

もっとも、第3極の維新と未来がどんなに議席を伸ばしたとしても比較第一党にはなれない。基本は各種世論調査で優位に立つ自民党と公明党で安定多数の議席を得るかどうかだ。これに維新が補完勢力として加わればより保守色の強い政権が誕生することになる。また、政権転落が必至の野田民主党は先の3党合意もあり、これも自公との連携に前のめりである。

そうであればタカ派の安倍自民党中心の政権を望まないリベラル層や前回、非自民政権を期待して民主党に一票を投じた無党層が未来に向かうことになるはずだ。あるいは100議席を超える勢力を確保することができれば、再び非自民政権を誕生させることができるかもしれない。世論調査が楽しみだ。

【東京スポーツ「永田町ワイドショー」11月28日入稿原稿)より】