嘉田知事の「卒原発」第3極新党を歓迎する(藤本順一)
来月4日の衆院選告示を前にもう一つ、第3極に新たな結集の動きが出てきた。
「脱原発」を掲げた新党の結成を検討している滋賀県の嘉田由紀子知事(62)の下に「国民の生活が第一」(小沢一郎代表)や「みどりの風」(谷岡郁子共同代表ら)、「減税日本・反TPP・脱原発を実現する党」(河村たかし・山田正彦両共同代表)らが大同団結して民主VS自民、公明両党に「日本維新の会」を加えた三つ巴と言われる選挙戦の構図に割って入ろうというのだ。
嘉田知事は「脱原発」の他に「TPP参加凍結」「消費税増税凍結」などを公約の柱にする方針であり、政策的には各党に大差はないから合流は充分に可能である。少なくとも選挙優先で政策を度外視して合流した「日本維新の会」(石原慎太郎代表、橋下徹代表代行)よりは解りやすいし、きっと国民有権者も歓迎してくれるに違いない。
さて、そうなると気になるのが残る第3極の身の振り方だが、「みんなの党」(渡辺善美代表)と「日本維新の会」の合流話は暗礁に乗り上げている。ネックになっているのは選挙区事情によるところが大きい。
「日本維新の会」は26日時点で149人、「みんなの党」は60人の公認候補を決めている。このうち22人が小選挙区で競合することになるから共倒れは必至だ。
だったら「じゃんけんで決めてもいい」と合流要請した橋本代表代行の発言に渡辺代表が不快感を示したのは周知のとおりだ。だからといってこのまま選挙戦に突入すれば、「みんなの党」は2分化した第3極の中で埋没してしまうことにもなりかねない。政策的な一致を見出せるものなら、選挙区調整の小異を捨てギリギリまで合流に向けた努力を続けてもらいたい。
何より政党の数が14もあるのは異常だ。第3極新党の乱立は民主VS自民の2大政党を利するだけである。その分、当落に影響を与えない死票が増えて国民有権者の意志が国政に反映されなくなる危険を孕む。本来ならば、2大政党がウィングを広げて国民の多様なニーズに応えるべきだが、民主、自民両党共に純化路線に向かっているようだから期待できない。
近い将来、定数是正、削減だけといわず、衆参両院の在り方を含めた抜本的な選挙制度の改革が待たれるところだ。
【東京スポーツ「永田町ワイドショー」11月26日入稿原稿)より】