「維新」と「太陽」が合流した本当の理由(藤本順一)
次期衆院選の獲得議席数を世論調査の結果から予想してみた。ざっくりとした数字だが、まずは投票率を前回09年、前々回05年の衆院選と同レベルの70%程度と仮定すると、投票総数は小選挙区、比例区共に約7000万票だ。このうち強固な支援組織を持つ既存政党の基礎票を過去の実績から弾き出してみると、最悪でも民主党1600万票、自民党2000万票、公明党800万票、共産党300万票、社民党100万票は獲得するはずだ。そして、これを全部足した4800万票を得票総数7000万票から差し引いた残りの2200万票が、選挙の風に左右されるいわゆる無党派層の票ということになる。
周知のとおり、前回衆院選で300議席を獲得した民主党は小選挙区で1800万の無党派票を上積みして自民党に競り勝った。前々回、自民党が300議席を獲得した小泉郵政選挙はこれの逆パターンだ。小選挙区の民主VS自民の基本構図は今回も変わらない。注目の「日本維新の会」、「国民の生活が第一」、「みんなの党」など第3極新党の候補が小選挙区で民主VS自民の構図に割ってはいるのは容易ではない。小選挙区300のうち、当選の可能性があるのは前職、首長経験者や大阪限定の新人候補を合わせてもせいぜい30~50議席止まりだろう。
第3極新党浮沈のカギを握るのはやはり比例区180議席の行方である。仮に第3極新党が公示前に一つの党に結集し、無党派層の2200万票を総取りしたとすれば一議席30万票の比例区で70議席を獲得、小選挙区と合わせ120議席となり、政局のキャスティングボードを握る堂々たる第3極だ。
「日本維新の会」と「太陽の党」が政策の一致をみないままに合流したのはそのためだ。野党から野合批判を浴びるのは当然だが、それでも毎日新聞が行った直近の世論調査で13%が比例の投票先に「日本維新の会」を上げている。トップは自民党の17%、民主党は12%で維新に追い抜かれてしまった。
現時点、少なくとも比例区では民主、自民両党と第3極新党の三つ巴の争いになりそうな調査結果だが、支持政党を決めるのは政策をよく吟味してからでも遅くはない。
【東京スポーツ「永田町ワイドショー」11月19日入稿原稿)より】