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安倍晋三の「太陽政策」と石原慎太郎「太陽の党」(藤本 順一)

野田佳彦首相が解散条件の一つと位置づける特例公債法案が8日に審議入りする。自民党の安倍晋三総裁が「太陽政策」にカジを切ったことから法案成立のメドは立った。次はこれに野田首相がどう応えるかだ。安倍総裁は今週中に衆院解散の可否を明らかにするよう求めている。

ところがこの期に及んでもなおも野田首相は「(衆院解散の)環境整備をするのが前提だ。聞きたい事があるなら、党首討論で国民に見える前でやった方がいい」と述べて言葉を濁す。党首討論は週明け14日に開催の予定だ。

自民党内には「民主党は料金を一度も払わず、ご飯だけ食べる。安倍さんは新しくできた執行部だから食い逃げに免疫がない」(伊吹文明元幹事長)と安倍総裁の太陽政策を懸念する声もある。期待半分、とりあえずは野田首相の出方を見守るしかなかろう。

週明けにはもう一つ、東京都知事選(11月29日告示、12月16日投開票)に向けた動きも慌ただしさを増す。政権復帰を目指す自民党にとっては試金石となる首都決戦だ。6日には党本部で安倍総裁、石破茂幹事長ら執行部と石原伸晃会長、内田茂幹事長ら都連幹部が対応を協議したが、結論を得るまでには至らなかった。

自民党内には石原慎太郎前知事の後継指名を受けた猪瀬直樹副知事を推す声があるものの、都議会自民は猪瀬氏の人間性に疑問符を付けて難色を示している。

あるいは候補者調整にもたつくようなことになれば、ギリギリのところで知事選の陣頭指揮をとる伸晃氏の出馬を促す声も出てこよう。

伸晃氏であれば猪瀬氏と同様、第3極の結集を目指す「石原新党」との全面対決は避けられるが、先の自民党総裁選での発言を持ち出すまでもなく、こちらも人間性には大いに疑問符が付く。ましてや都知事の親子禅譲には都民の反発もあろう。いずれにせよこの一週間、出ては消えての候補者擁立のドタバタ劇は続くことになろう。

それにしてもだ。都知事選で独自候補の擁立もままならず、どの面下げて年内解散を迫れようか。万が一にも第3極に相乗りするようでは民主党の人材不足を笑えまい。

【東京スポーツ「永田町ワイドショー」(11月7日入稿原稿)より】