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安倍自民の太陽路線転換で囁かれる解散密約説(藤本 順一)

直近の世論調査で野田内閣の支持率は共同通信17・7%、読売新聞19%、フジ産経グループ21・5%で各社とも政権発足以来、過去最低となった。不支持は逆に共同通信66・1%、読売新聞68%、フジ産経グループ65・7%となり、過去最高を記録した。

政権末期を裏付ける数字だが、幕引きするにしても国民生活への配慮は欠かせない。政治に知恵と良識が求められるところだ。

とりわけ注目しておきたいのが、政権復帰が確実視される自民党の対応である。遮二無二年内解散に突き進むだけでは、それこそ無責任野党の誹りは免れない。

だからだろう、先の自民党総裁選で最強硬派と目されていた安倍晋三総裁も柔軟路線に転じている。5日のテレビ番組で安倍総裁は解散時期について「12月9日か16日が投開票の限度で、11月22日には衆院を解散しないといけない」と述べ、特例公債法案と衆院選挙制度改革法案の早期成立と社会保障制度改革国民会議の設置に協力する姿勢をより鮮明に打ち出した。

永田町では柔軟姿勢に転じた安倍総裁と野田首相の年内解散の密約説が流布されているが、そうではなかろう。安倍総裁が政局より国民生活を優先すれば、結論は自ずとそうなる。

その上で野田首相が年内解散を決断してくれれば言うことはないが、先のテレビ番組で安倍総裁は「自民党が与党になれば来年度予算を組み直さないといけない。(予算の成立は)来年4月を大きくまたぐことになるから、暫定予算になる」とも述べている。国会日程上、解散総選挙の時期が年明けにずれ込むことを想定しての発言だ。

公債特例法案は今週、野田首相がアジア欧州会議(ASEM)首脳会議から帰国する7日以降に審議入りする。民主党は16日までに衆院を通過させ、22日頃に参院で可決・成立させる日程を描くが、残る衆院選挙制度改革法案は野田首相がなおも定数削減にこだわっているため、先行きに不透明感漂う。早急に野田首相と安倍総裁のトップ会談で結論を出すことだ。

【東京スポーツ「永田町ワイドショー」(11月5日入稿原稿)より】