在宅介護のポイントは家族の負担軽減(町 亞聖)
BSTBSの在宅介護の取材で横浜に行ってきました。
50代で脳幹出血で倒れたご主人を介護する60代の奥様が、取材に協力してくださいました。
今も動かせるのは左手の指先だけ。言葉も話せませんが、意識はとてもはっきりしています。
わずかに動く指先でも使える特別に作ったリモコンで、好きなテレビ番組を選んだり、ベッドの高さを自分で調整します。また食事も奥様の手作りの料理を口から食べることができますが、ここまで回復するとは奥様は夢にも思っていなかったそうです。
というのも5年前に倒れた時ご主人は、身体は全く動かせず寝たきりで「意識があるかどうか……」と医師に言われる状態でした。
入院から半年経っても鼻からチューブを入れて栄養を補給するような状態で、奥様はご主人を看取る覚悟で自宅に連れて帰ったそうです。ケアマネージャーさんやヘルパーさん達もご主人の回復に大変驚いていました。
大きな転機は娘さんの結婚式でした。
それまでは奥様が身の回りの介護をしていましたが、娘さんの結婚式にどうしてもご主人を出席させてあげたくて、初めてヘルパーさんに介助をお願いしたそうです。それがきっかけとなり、それまで受けていた看護やリハビリだけでなく、ヘルパーさんにも日常の介護をサポートをしてもらうようになったそうです。
自分だけでは気づけないほんのちょっとしたご主人の変化に皆んなで目を配り、例え動くのが指先だけでも出来ることを増やしてあげたいと奥様は話してくれました。
街頭インタビューで在宅介護に関する不安を伺いましたが、ほとんどの人が家族に負担をかけたくないと考えていて、在宅介護は難しいと話していました。
12年前に、家族が背負っていた介護を社会で支えようと介護保険が導入されたにも関わらず、在宅介護をためらわせる理由が「家族の負担」なのです。
今回協力してくださっているご家庭でも、頑張る家族の存在がありました。在宅介護で重要なことは、「家族の負担」をいかに軽減するかにかかっていると改めて感じています。
【ブログ「As I am(2012年3月6日)」より】