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11.8中国党大会開催! 習近平政権誕生で日本に危機が迫る!?(相馬 勝)

習近平政権は反日に 中国共産党大会前に権力闘争激化

中国共産党の第18回党大会が11月8日から北京で開催されることがようやく決まった。

当初は遅くても「10月中」と伝えられていたので、北京・中南海では、10年に1度の最高指導部人事をめぐって、水面下で激烈な権力闘争が展開されていたことは間違いない。

次期最高指導者と目される習近平国家副主席の太子党勢力と江沢民前国家主席率いる上海閥が共同で、胡錦濤主席がトップの共青団閥を攻撃しているのだ。

筆者はフジテレビ「スーパーニュース」のインタビューで、最近の尖閣諸島をめぐる反日デモが権力闘争に利用されたとの見方を明らかにした。

これ以前の8月初旬の河北省の避暑地、北戴河で行われた非公式の会議では尖閣問題が協議され、胡錦濤政権の生ぬるい対日政策が非難されたとの情報を筆者はつかんでいる。

[caption id="attachment_4689" align="alignnone" width="620"] 香港の反日デモの様子(撮影=筆者)[/caption]

「日本政府が尖閣諸島の国有化を決定したのは胡主席の従来の対日方針が弱腰だったためだ」との批判が噴出するばかりか、胡主席が政権を担当した10年間で社会不安は増し、経済状態も悪化するなど、「胡主席は1949年の中華人民共和国成立以来、最悪の最高指導者だ」と党内外から痛烈に攻撃され、胡錦濤主席は窮地に陥っているという内容だ。

それ以前は、重慶市トップの薄熙来・党委書記の妻の英国人ビジネスマン殺害事件や薄氏自身の党規違反や不正蓄財問題などの重慶事件で、太子党や上海閥が劣勢に陥っていたが、この尖閣問題で形勢は逆転した。

温家宝首相一族の秘密資産暴露、尖閣問題も権力闘争に利用

さらに、党大会まで10日と迫ったここにきて、胡錦濤主席に近い温家宝首相の母や妻、息子が多額の秘密資産を形成しており、その額は27億ドル(約2160億円)にも上ると報じられた。

[caption id="attachment_4690" align="alignnone" width="620"] 温家宝首相(写真=新華社のホームページより)[/caption]

温首相といえば、地震などの災害が起これば、最高指導者のなかで最も早く現場に飛び、被害者を慰問するので有名で、庶民のことを常に考えている「国父」と呼ばれるほどだ。温首相の家族が株式運用やダイヤモンドなど貴金属の売買、さらに香港で投資会社を作りインサイダー取引まがいで多額の不正蓄財をつくっているというのだから、「清廉」「庶民思い」などの温首相のイメージが傷ついたのは間違いない。

中国当局は温首相の秘密財産問題を報じた米ニューヨークタイムズのホームページが閲覧できないようにしたほか、外務省スポークスマンもこの事実を否定、温首相自身も弁護士を通じて、事実を否定するとともに、同紙に法的措置をとることを宣言している。

中国では通常、温首相ほどの最高指導者やその家族については情報が漏れないように細心の注意をしており、情報をリークすれば、警察などが動いて、秘密裏に身柄を拘束されることもある。このため、今回の温首相一族の秘密をリークしたのはかなりランクの高い高級幹部で、一説には温首相の追及によって逮捕された薄熙来氏に近い関係者との見方が出ているほどだ。

あるいは、薄熙来側の意趣返しとみせかけて、太子党や上海閥が温首相をイメージダウンを図り、陥れようとして、権力闘争に利用したともいえそうだ。

ここで注目されるのは、胡錦濤主席や温家宝首相も親日派といえないまでも、「知日派」と呼ぶことができる点だ。党大会で胡主席が軍事委主席に留任するかどうかは不明だが、いずれにしても、この2人は引退し、権力は習近平副主席が握ることになる。

われわれ日本人の関心は今後の日中関係だが、次期最高指導者の習近平副主席は対日問題を権力闘争に転化して、胡錦濤主席を攻撃したといえ、軍部を支持基盤としている習近平氏が最高指導者なれば、間違いなく反日的な強硬な対日政策を打ち出すに違いない。

【NLオリジナル】