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勝負あった!?「竹島問題」完全お手上げの日本(辺 真一)

李明博大統領の竹島(独島)上陸に端を発した「領有権騒動」が「尖閣諸島」が騒がしくなったこともあって静かになったと思いきや、昨日、韓国の国防委員会に所属する国会議員らが竹島に集団上陸し、「独島はわが領土、我々が守る」と記した横断幕を掲げ、気勢を上げたことで、再燃し始めた。自制しようとはぜず、畳み掛けて、日本を刺激するとは、韓国の政治家も愚か極まりない。

韓国の国防委員は与党・セヌリ党のユ・スンミン委員長以下17人いる。与党所属が8人、野党の民主統合党から6人、そして無所属1人で構成されているが、今回は、そのうち15人が行動を共にしたことになる。他の2人も反対して取りやめたということではないらしい。韓国もこと領土問題では、日本と同じように与野党は「一枚岩」だ。

それにしても、日本も完全にお手上げだ。上陸の情報を事前にキャッチし、中止するよう申し入れたものの韓国側は全く聞く耳を持たなかったというから実に嘆かわしい。

上陸が決行されたことを受け、藤村官房長官は「極めて遺憾である」と強く抗議をし、また外務省の河合周夫事務次官も申珏秀駐日韓国大使に電話で抗議したそうだが、韓国側は日本の抗議を全くと言っていいほど意に関してない。

国防委員による竹島上陸は何も今回が初めてではない。2005年、2008年にも強行している。一度ならず、二度ではなく、三度も同じ目に合っているのに日本の対応はせいぜい抗議するのが関の山だ。

今回もいつものように藤村官房長官は韓国政府に対して再発防止を強く求めていたが、間違いなくこれからも同じことが繰り返されることだろう。というのも、2005年に上陸した13人の国防委員の中には今、大統領選挙を戦っているセヌリ党の朴槿惠(パク・クネ)大統領候補も含まれていたからだ。

仮に年末の大統領選挙の結果、「反日」の野党候補でなく、日本が期待する知日派の朴槿惠政権が誕生したとして彼女の過去の言動からして再発防止は期待できそうにもない。それどころから、大統領になれば、竹島上陸が再現される可能性も考えられる。

本来ならば、対抗手段として、防衛、安全保障委員会に属する日本の国会議員らがヘリコプターで竹島上空を旋回し、上空から視察する手もある。あるいは、尖閣諸島で見られるように船をチャーターして上陸する手もある。しかし、上空からの視察は竹島に配備されている対空砲の脅威にさらされ、船による上陸は韓国警備隊による拿捕が待ち受けている。よほどの「勇気」「決意」がなければできない話だ。

ならば、竹島に上陸した韓国の国会議員への対抗、制裁措置として、日本への入国を禁止することも一案だが、過去の例からしてそれもまたできないだろう。

その一例を挙げると、昨年11月、日本政府の再三にわたる抗議を無視し、韓国超党派の「独島を守る国会議員」らが主導して、竹島(独島)で「美しいわれらの領土独島音楽会」と題する音楽会を開いた。この音楽会を主導した中心人物が北朝鮮の拉致問題に取り組んでいる自由先進党の朴宣映(パク・ソンヨン)議員である。困ったことに朴議員に対する日本政府の対応は、竹島問題では抗議しながら、拉致問題では協力を要請するという矛盾した対応を取らざるを得なかった。

竹島が日本の領土ならば、どういう事情であれ竹島に入った朴議員は日本の主権を侵害し、不法入国したことになる。不法入国した以上、尖閣諸島で日本の領海を侵犯した中国漁船船長らと同様に来日すれば、法治国家である以上、けじめとして何らかの処分をしてしかるべきである。

まして、その直前に竹島への中継地である鬱陵島視察計画をした新藤義孝、稲田朋美両衆院議員、佐藤正久参院議員ら日本の国会議員らが入国を拒否され、「強制追放」されたことに日本政府が抗議したばかりである。

さらに、日本にとって看過できないのは朴議員が属する「独島を守る国会議員連盟」は、独島が韓国の領土であることに異を唱え、奪還運動を展開する日本の政治家らの入国を阻止することを政府に強く求めていたことである。

その渦中の人物である朴議員が音楽会開催後の翌12月、日本を訪問したのだが、「毅然たる外交」は名ばかりで、来日を許されたばかりか、事情聴取もお咎めも全くなかったそうだ。こうした寛大な対応が今回の3度目の国会議員らによる竹島上陸に繋がったとは言えないだろうか。

今回の韓国側の「挑発」により日本政府は今月中にも国際司法裁判所(ICJ)に単独提訴に踏み切るだろうが、韓国は無視するだろう。

横須賀での講演で触れたが、当事者間の話し合いで解決できなければ、ICJで白黒を付けてもらうのが最も望ましいが、現実的には韓国が応じない限り、どうにもならない。従って、韓国がICJに出てくるようにするには、皮肉なことに中国が現在尖閣諸島周で展開しているデモンストレーションしかないだろう。

日本は中国との間に「領土問題は存在しない」というのが一貫した立場だったが、中国は日本政府の「国有化宣言」をきっかけに漁船から巡視船、海洋調査船、さらには軍艦を動員するなど執拗な示威を行い、結果として今では国際社会に日中間に領土問題が存在することを知らしめることに成功している。

日本政府も、ICJへの提訴の正当性をアピールするには竹島周辺海域に海洋調査船や漁船による「行動」を並行させることも一つの策だが、日本が中国に止めるように求めていることを果たして韓国に対してできるのかというのもこれまたジレンマである。

手も足も出せない限り、どうやら、竹島は勝負あった感がある。

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