命運尽きた野田首相と年内解散の3条件(藤本 順一)
民主党と自民、公明両党の3党幹事長会談が15日、国会内で行われた。席上、民主党の輿石東幹事長は臨時国会を今月末に召集する方針を示し、党首会談の週内開催を求めた。
これに対して自民党の石破茂幹事長は「首相が近いうちに信を問うと言った。そのことを受け止めてもらわないと困る。国民との約束でもある」と述べ、続いて公明党の井上義久幹事長が「12月の早い段階の総選挙がタイムリミットではないか」と畳みかけて早期解散の確約を迫った。もちろん、輿石氏がこれをすんなり受け入れるわけがなく、結論は18日の再会談に持ち越された。双方角突き合わるだけの会談であれば芸のない話だが、再会談には少しだけ希望がある。
周知のとおり、臨時国会の最優先課題は特例公債法案と衆院の選挙制度改革である。
このうち選挙制度改革について民主党は最高裁で違憲が指摘された小選挙区の定数是正に加え、比例定数の40削減を主張していたが、ここにきて自民党が求める小選挙区「0増5減」の先行実施に柔軟姿勢を見せている。
比例定数の削減は野田政権が消費税率引き上げの免罪符であり、身を切る改革の象徴である。
一方で大幅な選挙制度改革は国民への周知期間が長期となるため、野田首相が解散先送りの口実にもなる。これでは早期解散を求める自民党が飲めるはずがない。
逆に言えば、次の幹事長会談で輿石幹事長が「0増5減」の先行実施と周知期間を明確にすれば、野田首相の「近いうち」解散により踏み込んだニュアンスを持たせるこができよう。
加えて民主党は15日の役員会で次期衆院選マニフェストの作成に向けた「マニフェスト検討委員会」の設置を決めた。11月中のとりまとめを目指している。
定数是正と選挙公約が整えば、解散ムードは否が応でも高まろう。自民、公明両党もこの辺りで矛を収めて土俵に上がった方がいい。そして野田首相は国民有権者の多くが早期解散を望んでいることを重く受け止めるべきだ。このまま居座るようでは、決められない政治に逆戻りである。
【東京スポーツ「永田町ワイドショー」(10月15日入稿原稿)より】