落選におびえる民主党議員のあきれた血税蓄財術(藤本 順一)
「福島の復興再生の基盤となる除染をスピードアップしなければいけない」
野田佳彦首相は7日、福島第一事故現場を視察した際、記者団を前にこう述べた。すでに先の内閣改造で初入閣した担当大臣の長浜環境相に対し除染加速化の包括的な対策作りを命じているそうだ。
具体的には環境省の拠点「福島環境再生事務所」への権限移譲、関係府省の連携強化除染の進捗状況の住民への情報提供などを検討課題にあげている。
野田首相の現地視察は昨年9月以来2度目となるが、この1年、消費税税率の引き上げのことで頭が一杯で被災地のことは2の次、3の次だったということだろう。こんな初歩的な対策も講じられていなかったのかと、今さらながらに怒りが込み上げてくるのは筆者だけではあるまい。しかも、ここにきて次々に明るみなる震災復興予算の流用問題である。
復興予算は5年間で19兆円、このうち今年度当初予算までにすでに18兆円を計上している。財源は早期の被災地復興を願う国民の理解を得て、別枠の復興増税、赤字国債で賄われることになっている。ところがその国民の血税が、たとえば財務省では「震災時の業務継続のため」として全国の税務署改修工事に、法務省では「被災地域における再販防止背作の充実・強化」を名目にした事業予算が、北海道や埼玉県の刑務所で実施された職業訓練に使われていたというのだから、開いた口が塞がらない。
平野達男復興相は7日のテレビ番組で「きちんと精査し、来年度はできるだけ被災地に特化した予算を作りたい」と述べ、復興予算の編成に瑕疵があったことを認めた。ならば、責任を取り即刻辞任するべきだが、事の重大さは一閣僚の出処進退のレベルでは収まらない。野田首相は来年度予算案の編成に意欲を見せているようだが、迷惑な話である。
むろんこの3年間に積もり積もった民主党政権の失政は、野田内閣が総辞職したところでチャラにはならない。それが故に野田首相は、国民へのせめてもの置き土産にと消費税増税法案の成立と引き換えにした「近いうち解散」を自民、公明両党と約束したはず。聞くところでは、次期衆院選の民主党立候補者の多くが、地元選挙区の政治活動を自粛し、政党交付金や議員歳費を節約して落選後の生活資金をため込んでいるそうだ。これも血税の垂れ流しに他ならない。早期解散が求められるところだ。
【東京スポーツ「永田町ワイドショー」(10月8日入稿原稿)より】