野田政権の「経済再生戦略」は砂に水撒く投資詐欺(藤本 順一)
野田政権の経済財政運営で新しく舵を握ることになった前原誠司国家戦略相は2日の記者会見で来年度予算案の編成について「財務省主導ではなく、内閣府、内閣官房中心に与党と連携しながらやっていく」と述べた。
予算編成権を首相直属の「国家戦略局」が主導することは民主党がマニフェストに真っ先に掲げた政権交代の原点だが、何を今更の感がある。 しかも、野田政権が先に示した来年度予算の概算要求額は政府・民主党の「日本再生戦略」に掲げた11の成長戦略と38の重点政策への予算要求を積み増したために、100兆円を越える史上空前の規模となっている。
「日本再生戦略」では環境関連で50兆円以上の新規市場と140万人以上の新規雇用、医療介護分野でも50兆円、284万人の雇用を創出するとしている。
だが、いずれも民主党がマニフェストに掲げた経済政策を焼き直したたけのこと。過去3年間の民主党政権の経済運営を省みれば、砂に水を撒くようなものだ。
こんなまるで投資詐欺のような話を政治主導でやるというのならば、消費税をどれだけ引き上げても借金は膨らむばかりで、やがて日本経済は破綻、ギリシャの二の舞である。
そもそも民主党は政治主導をはき違えているのではないか。
自民党の安倍晋三総裁は3日、福島圏相馬市の被災地住民や自治体首長との懇談で「市町村任せではなく、国が前面に出て取り組むべきだ。復興庁は縦割り予算を廃し、スピードアップしなければならない。われわれが一日も早く政権に復帰しなければならない」と述べた。
まさに遅々として進まない震災復興と原発事故の対応にこそ、行政組織の枠を超えた政治主導が求められるところだ。
民主党政権はもういいだろう。野田佳彦首相は秋の臨時国会、赤字国債発行のために公債特例法案を成立させなければならない。
3日の支援組織「連合」の集まりで「危機感を野党にも共有してもらい、次期国会で速やかに可決すべく、野党の協力が得られるよう呼びかけていく」と述べている。
だったら自民、公明両党との約束どおり「近いうち解散」を実行するしかない。それが消費税増税法案を成立させた野田首相のとるべき花道だ。
【東京スポーツ「永田町ワイドショー」(10月3日入稿原稿)より】