安倍元首相は自民党より「維新の総裁」を目指したらどうか(藤本 順一)
安倍元首相は自民党より維新の総裁を目指したらどうか
「6年前総理に就任し、病気のためとはいえ、職を辞することにした。心からおわびしたい。この5年間、責任をどう取るべきか考えていた。全身を投げ打って立ち向かえとの同士の声にこたえたいと決断した」 自民党の安倍晋三元首相(町村派)は12日の記者会見でこう述べ、総裁選への出馬を正式表明した。13日には参院議員の林芳正政調会長代理(古賀派)が出馬会見を行った。
これにてポスト谷垣の総裁選は石原伸晃幹事長(山崎派)、町村信孝元官庁長官(町村派)、石破茂前政調会長(無派閥)と合わせた5人の有力候補が出揃ったことになる。 それにしても理解に苦しむのが安倍氏の出馬である。お詫びし、責任を感じているのであれば、選ぶべき道は他にあろう。
安倍氏は記者会見で「日本の領土領海、日本人の命を断固として守る。憲法改正に取り組み、国民の手に憲法を取り戻す」とも述べていた。それならば、安倍氏じゃなくても、と言いたくなる。
それにどう贔屓目に見積もっても、この3年間の谷垣路線を否定する安倍氏に勝ち目はない。一回目の投票で石原、石破両氏に大差を付けられるようなら政治生命すら危ぶまれよう。
あるいは勝敗を度外視しての出馬であれば、橋下徹大阪市長が率いる「日本維新の会」に合流する手は残されている。 「日本維新の会」にはすでに民主党の松野頼久元官房副長官や自民党の松浪健太衆議、「みんなの党」の小熊慎司参議など7人が参加を表明、さらに次期衆院選には東国原英夫前宮崎県知事や中田宏前横浜市長らの出馬が取り沙汰されている。いずれ劣らぬクセ者ゲテ者ばかりの政党になりそうだから、元首相の安倍氏が合流すれば、党首の座は約束されたようなものだ。憲法改正に好きなだけ取り組んだらいい。それに安倍氏が党首になれば、きっと尖閣や竹島に政党支部を置き自ら先頭に立って日本の領土領海を守ってくれるはず。そしてついには近い将来、尖閣、竹島出身の国会議員が誕生することになるかもしれない。
安倍氏の政治手腕に期待するところである(笑)。
【東京スポーツ「永田町ワイドショー」9月14日号(改訂版)より】