ノーボーダー・ニューズ/記事サムネイル

尖閣問題 日中の武力衝突はあるのか?【NLキュレーション】(NL編集部)

9月14日、中国の海洋監視船6隻が、尖閣諸島周辺の日本の領海内に侵入した。このとき、海上保安庁の巡視船は中国の監視船が島に近づくのを警告などで阻止したが、もし、偶発的な衝突などがあったらどうなっていたのだろうか―−。

News Logでは、すでに5月の時点で複数のジャーナリストたちが尖閣問題をとりあげ、日中衝突の危険性を警告してきた。今回は「News Logキュレーション」として、尖閣問題に関するNews Logの記事を振り返ってみたい―—。

5月29日、元産經新聞香港支局長でジャーナリストの相馬勝氏は、

「台湾の聯合晩報は、中国軍が戦闘機で尖閣諸島まで12分で到達できる福建省沿海部に軍用基地をほぼ完成させたと報じている。新型戦闘機『殲10(J−10)』や『Su−30(スホーイ30)』、無人攻撃機、S−300長距離地対空ミサイルなどが配備されたもようで、台湾軍関係者は尖閣問題など『東シナ海有事』に備えた最前線基地と語っているという。このところ、中国の海洋監視船などが尖閣付近の日本領海に侵入する事件が繰り返されており、中国人民解放軍が来るべき有事への準備を進めているともみることもできる。尖閣問題については今後も中国政府・党指導者の言動や軍の動きに注意が必要だ」(「福建省沿岸部に軍事基地、尖閣まで戦闘機で12分」より)と報告。

6月11日には、ジャーナリストの富坂聡氏が、

「『両国が将来、武力衝突にも至る緊張を高める可能性が出てきた』ということだ。こう言えば『何を大袈裟な』、『いまの時代に戦争が起きるはずはない』という嘲りの声が聞こえてきそうだが、これは本当にそれほど楽観して良い問題なのだろうか」(中略)「残念なことに中国では、尖閣諸島の問題を、『かつての不名誉な歴史のなかで奪い取られた屈辱を回復する象徴』と位置付けられているのだ。この捉え方が事実か否かは別としてそう信じている現状は日本も抑えておかなければならない。

加えて重要なことは、地域紛争程度のことは一起きても不思議ではないという心構えを持っておくことだ。そうしないと、いざという時に狼狽し過ぎ、本格的にブレーキの効かない状況に陥ってしまいかねないからだ。つまり、最大限の危機を想定し、その火種を最小限にとどめるという意識を国民レベルでも考え置く必要があるということが、この尖閣諸島の問題では重要だということだ」(「尖閣諸島問題で日中が武力衝突に至る可能性……」より)と警告している。

6月21日には相馬勝氏がまた

「中国軍の制服組トップ、郭伯雄・中央軍事委員会副主席がこのほど、中国海軍の調査研究会という会合で、『国家主権や領土・領海を守るために、軍事闘争の準備を深め、戦争を準備せよ』などと檄を飛ばしたというのだ」

そして、「軍事委副主席メンバーは異口同音に、石原慎太郎・東京都知事が打ち出した尖閣諸島(中国名・釣魚台)の買収計画や、オバマ政権が南シナ海の係争地帯付近の島に海兵隊を駐留させる計画に強く反発。『計画が実現のものとなれば、解放軍は軍艦を派遣し、それらの島々を実効支配すべきだ』と語り、軍事的対抗策をとる必要性を強調。

さらに、会議では相手国に『中国領』であることを認めさせるためには、周辺海域に軍艦や漁業監視船、資源探査船などの艦船を頻繁に派遣し、相手国を絶えず威嚇することも決定したという。つまり、『いざとなれば、相手国に軍事的教訓を与える』という軍事的行動も辞さないという強硬な態度を見せたのだ」(「中国軍の制服組トップ、『戦争を準備せよ』と檄」より)としている。

6月28日にも相馬氏が、

「日中国交樹立40周年なのに、中国側の要人がまったく日本に来ない、あるいは来日をキャンセルするという異常な事態が続いていることだ。今後の日中関係がどういう展開をたどるのか、予想するのは難しいが、最悪の事態に対処する必要がある」(「尖閣領有で既成事実化進める中国」より)と指摘。

7月23日になるとジャーナリストの蟹瀬誠一氏も

「日本政府には何の具体的な守備計画もない。中国は10年以上かけて戦略的に尖閣諸島への攻勢をかけてきている。島がだめなら岩礁を狙ってくるだろう」(「尖閣の対応ぶりでわかる日本の危うさ」より)と言っている。

ジャーナリストたちが、おりにふれ警告してきた尖閣問題。この機会にぜひ、News Logに掲載されたそれぞれの過去記事をもう一度、読み返していただきたい。フリー・ジャーナリストたちの指摘の鋭さが、あらためて確認できるはずだ。

News Log編集部