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野田首相が反原発活動家と面会した本当の理由(藤本 順一)

野田佳彦首相が22日、ついに脱原発デモを煽動する活動家らとの面会に応じてしまった。席上、関西電力大飯原発3、4号機の再稼働中止や原子力委員会の人事案撤回を求められた野田首相は、脱原発依存の政府方針を説明して理解を求めた。

どこの馬の骨とも知れぬ輩を官邸に招き入れての首相直々の答弁は異例中の異例である。民主党の菅直人前首相が仲介したとのことだから、秋の代表選で再選を目指す野田首相はむげには断れまい。ただ、それならばまずは党を窓口にして接触するべきだった。首相官邸での面会は軽はずみである。

原発政策について政府はこれまで意見聴取会や世論調査などを通じて国民の意見を吸い上げてきた。あるいは議員一人一人が地元選挙区で直接耳した有権者の声もあろう。むろん、最終判断は国会の議論に委ねられることになる。面倒でも、それが民主主義のルールだ。

同日、政府が実施した世論調査の結果が出ている。それによれば、2030年の総発電量に占める原発比率について47%が原発比率「0%」を支持している。国民感情からすれば、当然の数字だ。

政府が調査結果の発表を野田首相と活動家との面会に重ねてぶつけてきたのは、国民世論のガス抜きを狙ってのもの。だが、そのことは同時に首相官邸が得体のしれない活動家の権威づけに利用されるリスクを孕んでいる。

それはさておき世論調査の結果について言えば、原発比率の「0%」の目標設定に異存はないが、達成期限を2030年にしているところに無理はないか。たとえば、20年後に50%、30後には30%にというように段階的な削減目標を設定した方がより現実的である。国民感情に流され、出来ない約束をしてしまうのは民主党政権の悪い癖だ。

【東京スポーツ「永田町ワイドショー」8月24 日より】