16年前の映像を発見! その資料からわかった竹島とは? (辺 真一)
日韓による竹島領有権論争は終息する気配が全く見られない。日韓双方とも落としどころというか、振り上げた拳を下したくても、下せないのが現状のようだ。
政府はどうであれ、日韓の架け橋を自称する者としては、ヒートアップせず、エキセントリックなアジテーターや、扇動家、ラッパ吹きに煽られることなく、沈着冷静に問題解決にあたるよう努めたいものだ。
ところで、竹島は一体、どんな島なのだろうか?
残念ながら、日本には日本独自の島の映像は保存されてないようだ。60年も近寄れないわけだから撮りようがない。
唯一、友人である国境ジャーナリストの山本皓一さんが撮った映像と写真があるが、上陸が許されたのはたったの20分、それも、船着き場所に限定されているからこれでは島の全容はわかりようもない。従って、日本人は竹島という名前は知っていても、島のことは何一つ知らされてない。これでは、子供らに教育のしようもない。
数日前にビデオやカセットの入った段ボールを整理していたら、竹島のビデオが1本、出てきた。韓国のKBSテレビが16年前に放送した映像で、タイトルは「独島365日」。ということで、週末は、16年間も保管していた竹島のビデオをじっくり見て過ごした。
同局の撮影クルーが1992年3月31日に上陸し、1993年4月2日までの1年間、竹島の春夏秋冬を撮影し、1996年2月に「特別企画」として1時間半にわたって放送されたものだ。
映像やナレーションから以下のことがわかった。
①竹島は韓国の本土(慶尚北道)から217km、鬱陵島から東南92kmに位置している。 (※日本の本土、島根県からは214km、隠岐島から157km)
②東島(0.07㎢)は高さ91m、西島(0.11㎢)は高さ168メートル。カモメの島である。
③島は460万年前の海底噴火によってできた。さらに噴火活動によって250年前に二つの島になった。270万年前にできた鬱陵島よりも200年近く前に出現した。ちなみに、同じく火山島の済州島は120万年前に出現した。
④東島に鬱陵島警察署所属の警備兵が15人駐屯(93年当時)。ヘリポートがすでに設置されている。
⑤竹島周辺には30余の岩がある。一番大きい岩は東島と西島の間に聳えている岩で、韓国は「拳銃岩」(将軍岩)と呼称している。
⑥西島に漁夫の宿舎がある。
⑦晴天の日は竹島から鬱陵島が見える。
⑧25年前からアワビをとっている漁師がインタビューに答える。イカ、ブリやメダイ、イワシの宝庫である。
⑨水が透明で、なまこや、アワビ、タコなどが採れる。大人サイズぐらいのタコもある。アシカ一頭も発見。
⑩竹島に最初に住民登録したのは1981年で、崔鍾徳という人物。87年に死亡。彼の定住によって無人島から有人島となったとのナレーション。崔鍾徳は西島に一人で階段を作り、道を開いた。
⑪西島には唯一水が飲める場所がある。岩水である。
⑫洞窟があり、中から人骨が発見された。ナレーションによると、1948年6月8日の米軍の島砲撃演習の被害で亡くなった漁師や海女らの遺骨とのこと。海底から当時の不発弾が引き上げられた。
⑬東島には大きな穴がある。
⑭1年のうち竹島海域が穏やかなのは70日間だけ。
⑮5人の殉職者の墓がある。1954年に最初の墓石が建てられた。
⑯東西の島の岩に刻まれた「韓国領」と「韓国」という文字は1954年に彫られたものである。
⑰1973年から植樹が行われており、1989年には植樹運動団体が結成され、たんぽぽなど様々な品種の花が植えられた。多くの鳥も飛び交う島で、韓国では1976年にたった一度済州島で発見された珍鳥、緑鳩も目撃された。
ざっと、こんな内容だが、二つの島を上から下まで、表から裏まで、そして洞窟など中まで撮ったものはこれ以外ないだろう。
「固有の領土」と主張する日本政府も参考までに取り寄せて、一度見てみたらどうだろうか。ナレーションを変え、タイトルを「竹島365日」にすれば、日本にとっても貴重な映像、教材となるのでは。
【ブログ「ぴょんの秘話」より】