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民主、自民共倒れで見えてきた橋下首相誕生の愚(藤本 順一)

お盆明けの永田町はいよいよ解散モードに突入である。民主党の惨敗は誰もが予想するところだが、注目しておきたいのは政権復帰が確実視される自民党の獲得議席数と第3極結集の要となる橋下新党の勢いだ。

自民党はお盆前、独自に行った選挙情勢分析で過半数越えの可能性が見えてきたそうだが、楽観が過ぎよう。

読売新聞が行った直近の世論調査では次期衆院選の比例投票先で橋下徹大阪市長が率いる「大阪維新の会」は16%の支持を得て自民党の21%に次ぐ堂々の第2位につけている。ついでながら民主党は11%と惨憺たるもの。この数字をベースに各党の比例180議席の獲得数を単純計算してみると、自民党38議席(前回55議席)、民主党20議席(87議席)となる。対する「大阪維新の会」は29議席に加えて無党派層の多くを取り込み、自民党の獲得議席を上回る可能性すらある。

現段階ではあくまで頭の体操だが、それでも落選の危機に怯える現職国会議員の「大阪維新の会」詣でが賑やかなのはさもしくはあるが、強きになびくは世の常、人の常だ。あるいは自民党の獲得議席数が200を大きく割り込むようなことになれば、その分だけ「大阪維新の会」の議席数が伸びて発言力を増し、自民党が橋下市長を次期首相に担がざるを得ない状況も出てこよう。空恐ろしい世論調査の結果である。

もちろん、第3極を「オリーブの樹」と称し、新しい政治を期待する国民有権者の気持ちは理解できる。だが所詮は「おらが村」の寄り合い所帯でしかない。権力を握ったとたんにどうなるか。足の引っ張り合いで仲間割れして空中分解するのが目に浮かぶようだ。

かつて国民を熱狂させた細川連立政権がそうだったし、民主党の仲間割れも同じ線上にある。

次の政権は断じてそうあってはならないし、そうならないよう自民党には政権のど真ん中に座ってもらわなくては困るのだが、国民世論は必ずしもそうは思っていない。

ならば何も解散総選挙を急かすことはない。秋には総裁選がある。総裁候補の政策論争を通じて国民の信頼を取り戻すことが先決ではなかろうか。

いかにも利権漁りの権化のような政治家が「国土強靱化」と称し、喜々として公共事業の200兆円バラマキ政策を語っているようではお先真っ暗である。

【東京スポーツ「永田町ワイドショー」8月17日より】