李明博大統領は風見鶏! (辺 真一)
李明博大統領は予想外の日本の反発に驚いたのか、今回の言動についていろいろ言い訳をしているようだが、この人は所詮、風見鶏である。
李大統領について日本では一般的に「知日派」あるいは「親日派」と評価されているが、何を隠そう、1965年の日韓条約反対闘争で6か月の懲役に処せられたほどの経験を持つれっきとした「反日闘士」である。
また、ソウル市長時代は、日本の植民地時代に建てられた現ソウル市庁を韓国旗で覆うイベントを開催したり、歴史教科書採択阻止のため寄付金1億3千2百万ウォンを集めたり、挙句の果てには日本から修学旅行生を誘致して竹島問題などを勉強させる計画を立てるなど根っからの「反日」政治家である。
ソウルの中心部を流れるどぶ川として悪名高かった清渓川を市民の憩いのオアシスにしたことを鼻にかけ、首都高速道路を撤去し、日本橋に再び青空を取り戻せなかった石原東京都知事を指して「四流・五流の政治家」と痛烈に批判したことさえあった。
それが一点「親日」に転じたのは、大統領職に色気を見せ始めてからだ。
前任者の盧武鉉大統領が2005年に島根県が2月22日を「竹島の日」に制定し、同年10月には小泉総理が靖国を参拝したことに怒り、「もうこれ以上、見過ごすことはできない」と日韓首脳会談の中止など日本との関係断絶という強硬手段に出た時は、翌年1月のダボス会議で「過去の歴史に縛られて、国家間の緊張を高め、未来を暗くしている」と突如、その対応を批判してみせた。
また、2008年に大統領として来日した際には在日韓国人らの歓迎レセプションでのスピーチで「過去にこだわっては、今日は生きられないし、まして未来を生きることはできない。過去の政府と異なり、日本に対して他の要求をしない。経済協力を実質的に一層強化するつもりだ」と言っていた。
さらに歴史認識の問題でも「これからは政治家の発言に敏感に反応しない。政治家にはそれぞれの意見がある。歴史認識は日本の問題である。問題発言があったとしても謝罪を要求しない」とか、「今後は過去にこだわることなく、日本とは未来志向の関係を進めたい」と強調していた。
こうした一連の発言が日本で「親日派」のイメージを定着させる要因となったわけだが、いざ大統領任期終了が近づくと、今度は功名心と保身のためまた豹変し、対日強硬姿勢に出たわけだから、戸惑うのは何も日本人だけではない。
李明博大統領の竹島上陸に触発されたのか、香港の活動家らが尖閣諸島に乗り込んだ。一行は、待ち受けていた海上保安院や警察官によって現行犯逮捕された。
日本の領土に不法に入ったので、逮捕し、日本の法律に則り、起訴して、裁判に掛けるのは法治国家として至極当然のことだ。「毅然たる外交」というのはこういうことを指す。
李大統領の竹島上陸も、日本の法律に照らせば、不法入国にあたる。日本の官憲が実効支配していないため現行犯逮捕はできないが、相手が誰であれ、処罰の対象には変わりない。
日本政府は、李大統領の強硬な言動に抗議し、日韓シャトル外交及び首脳会談を当分の間、延期する方針だ。延期するのは結構だが、今朝のテレビでも進言したが、単なる抗議の意思表示としてではなく、次期大統領が二度と真似しないよう釘を刺す意味でも、「不法入国者とは会えない」との明確なメッセージを発信すべきだ。日本国総理が韓国や中国に対する配慮から靖国神社参拝を自粛、自制しているように韓国の大統領も「竹島上陸」を自粛するよう同様の「配慮」を求めてしかるべきだ。
仮に自粛しなければ、日本は今後、韓国への配慮を止めて、韓国の頭越しに北朝鮮との直接交渉を進めるのも韓国への牽制となり、一つの対抗策にも成り得る。
韓国の一部企業は、現在、日本の了解なく、北方領土に入り、建設事業に着手するなどロシアの実効支配を補完している。問題なのは、韓国政府が日本の立場を考慮せず、これを黙認していることだ。
拙著「金正恩の北朝鮮と日本」の中でも具体的に提言したが、日本は中国や韓国を牽制するため「北朝鮮カード」を使うのも有効な対抗手段となることを悟るべきだ。
【ブログ「ぴょんの秘話」より】