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血迷ったか? 谷垣自民党の3党合意破棄(藤本 順一)

消費税増税関連法案の成立が危うい。採決先送りに怒った自民党の谷垣禎一総裁は3党合意の破棄も辞さずの構えである。慌てた民主党は8日の参院特別委員会採決を打診したものの、自民党はこれを拒否、6日に開いた衆参「10役会議」では野田佳彦首相に対して法案成立への協力と引き換えにした解散総選挙を確約するよう求めることで一致した。応じなければ、7日にも衆院に内閣不信任決議案、参院に首相問責決議案を提出するという。かなり強気である。

これに対して公明党の山口那津男代表は6日の記者会見で「(消費税増税法案の)採決前に可決されることになれば3党合意を結んだ大義が失われる。一体改革(関連法案の成立)と解散(の確約)を条件付けるのは、国民から政局を優先するのかと受け止められかねない」と述べている。まったく同感である。

政権復帰が目前にチラつき、血気に逸る気持ちは理解できるが、ここは一呼吸置いた冷静な政局判断が欠かせない。

あるいは3党合意の破棄を迫る自民党内の声が、9月の総裁選を前にした谷垣下ろしに連動してのことであればなおさらだ。

総裁選には党内最大派閥を率いる町村信孝会長が立候補に意欲を見せ、石原伸晃幹事長や茂木敏充政調会長、石破茂元防衛相らポスト谷垣世代もスキあらばの構えだ。しかも、政権復帰後の長老実力者たちの主導権争いも絡んでくるから厄介である。

もちろん、出馬するのは勝手だけれども、次期首相を決める総裁選であることを忘れてもらっては困る。

言い尽くされた話だが、誰が首相になっても財政再建と景気浮揚は焦眉の急だ。消費税の引き上げがその前提となることは論を待たない。3党合意はそのギリギリの妥協点だった。万が一にもこれを廃棄するようなことになれば、たとえ自民党が政権復帰したとしても財源問題ですぐさま行き詰まる。その意味で谷垣総裁が今国会、与野党の立場を越えて消費税増税に道筋を付けた功績は高く評価されてしかるべきだ。

それにもかかわらず、谷垣総裁が3党合意に迷いを見せれば、政局はいっそう混乱する。下品な喩えになるが、野田首相とはいわばケツの穴まで舐めあった間柄である。信じて動かず、野田首相の判断を待つことだ。

【東京スポーツ「永田町ワイドショー」8月8日より】