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東電の会見出入り禁止措置に関する公開質問状(木野 龍逸)

遅くなりましたが、8月10日金曜日に、代理人の弁護士を通じて東京電力に公開質問状を出してきました。内容は以下の通りで、僕の東電会見出入り禁止についての確認と要望です。回答期限はお盆明けの8月20日にしています。会見出入り禁止措置から45日目でした。

東電会見、出入り禁止になりました(7月4日)

http://kinoryu.cocolog-nifty.com/go_kinoryu/2012/07/post-ec7b.html

6月27日の出入り禁止措置から1ヶ月半が経ちます。この間、代理人を通じて東電側に再検討の余地がないのかを聞いてきましたが、どうもとりつく島がない様子でした。一方で、アワープラネットTV、朝日新聞、東京新聞などが出入り禁止措置を報じ、どう考えてもおかしいという主旨の識者コメントなどを紹介しています。

フリーの木野龍逸さんが東電記会見に「出入り禁止」 (アワープラネットTV/7月4日)

http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1392

東電会見「出入り禁止」 音声生中継のフリーライター (朝日新聞電子版/7月5日)

http://www.asahi.com/special/10005/TKY201207050450.html

7月7日には、東京新聞特報部に大きな顔写真付きで出入り禁止に関する記事が掲載されました。評論家の荻原博子氏、上智大学新聞学科の田島泰彦教授らのコメントは、国の管理下にあり、多額の税金を投入されている企業であることを考えると、東電の措置が極めて不当であることなどを指摘していました。

東電株主総会公開を 音声中継フリーライター退場(7月7日・リードのみ掲載)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2012070702000118.html

田島教授はアワープラネットTVに対し、公共的な性格の強い東京電力の株主総会については、「主催者の意思に反してもそれを報道することについて正当な権利はある」とコメントしました。また、テレビ局が総会の質疑を放送していたことにも触れ、差別的な扱いだという指摘もしていました。

とはいえ状況は6月27日時点からまったく変わっておらず、引き続き出入り禁止措置が継続中です。このままではラチがあかないので、公開質問状を出すことにしました。以下に質問項目を紹介します。

1 木野龍逸氏の貴社記者会見立入禁止措置を直ちに撤回されたい。

2 貴社は、最近の貴社記者会見において木野龍逸氏立入禁止の理由を、貴社の定めたルールに違反したためとしているが、その見解は今でも維持されているか。

3 株主総会会場において録音、ビデオ録画を禁止するというルールは、いかなる方法で株主総会の入場者に告知したか。

4 上記ルールについて貴社は株主総会への入場者から了解する旨の同意書をとったか。

5 マスメディアにおいて株主総会の状況を伝える録画が放送されているが、録画を放送したテレビ局に対し会見立入禁止をしないのに、木野龍逸氏にだけ立入禁止措置をとった理由は何か。

6 貴社に対しては政府から株式対価として1兆円、その他公的支援として1兆円、国の財政的措置が行われており、貴社の公的性格は否定すべくもない。国民は、かかる公的性格を有する貴社の情報にアクセスする権利を有し、木野龍逸氏の会見出席は憲法21条、国際人権規約(自由権規約19条)の知る権利の価値を具現化していると考えられる。これに対し貴社の挙げるルール違反に対するペナルティとして記者会見における取材の機会を全面的に奪うこととなる立入禁止措置をとることは木野龍逸氏の背景にある数多の福島県民を含む日本国民の知る権利、個人の尊厳を侵害する重大な行為と考えられるが、この点いかがお考えか。

問題のひとつは、他メディアとの差別性です。またひとつの問題は、東電の公益性です。公益性の観点でいえば、東電が株主総会を非公開でやることが妥当なのかどうかという疑問は大きいといえます。

7月13日に、枝野経産大臣は閣議後の会見で、フリージャーナリストの上出氏が僕の出入り禁止についての見解などを質問したことに対し、以下のように答えています。

「(前略)一つの原則として透明性については、そもそも電力会社は公益性の高い企業ですから、政府機関に準じた透明性の確保が求められているというふうに思っています。ただ、一方でこの会見もそうですし、例えば官邸の会見などもそうですし、いろいろと役所の言い方で言うと庁舎管理上のいろいろな基準やルールがあります。それから、それ以外にも様々なルールがあります。そのルールには従っていただくことが前提になるというふうに思います。

ただ、その個別の前提がそういった意味で、ルール違反があったからということが言えるのか、言えないのかと、それから同じようなルール違反がもしあった場合でも公平性、特定の人だけを狙い撃ちすることは許されないことになりますので、その点についてはきちっと特に新しい執行部においては、ビデオの公開の件もそうですが、適正にやっていただけるというふうに思っておりますが、念のため御指摘を受けて、調べてはみたいと思います」 (経産省HP 大臣会見議事録より抜粋)

http://www.meti.go.jp/speeches/data_ed/ed120713j.html

要約すると、ルールはあるけれどもそれが特定の個人を狙い撃ちするような結果になっているとすれば問題がある、電力会社は公益性が高いので政府機関に準じた透明性の確保が求められる、ということになりそうです。これをそのまま受け取れば、そもそも東電の株主総会は公開されるべきではなかったのかとも考えられます。

引き続き、東電には解除を要請していきたいと思います。

【ブログ「キノリュウが行く」より】