自民党の利権体質は変ったといえるのか(藤本 順一)
参院の税と社会保障の一体改革特別委員会は30日、消費税増税関連法案を採決する前提となる中央公聴会を6、7の両日に開催することを決めた。これでお盆前の法案成立はほぼ確実となる。
さてと、そうなると国会はお盆明けからいったい何をやるのか。9月8日の会期末までまだ間がある。
「8月後半から9月の会期末までに大きなヤマ場がやってくる。今年秋には必ず衆院解散になる。解散戦略はいくらでも描ける。(自民党が)イソップ童話の北風なら、内閣不信任決議案、首相問責決議案(提出)でいく、太陽なら消費増税関連法案、特例公債法案成立(への協力)の代わりに、すぐに信を問う(確約を得る)」
自民党の茂木敏充政調会長は28日の講演でこう述べている。
確かに消費税増税関連法案が成立したとしても、自民党が特例公債法案に反対すれば、野田政権は苦境に立たされる。だが、同法案が3党合意した消費税増税を財源とする「つなぎ国債」を前提にしていることを茂木氏は忘れていないか。加えて、特例公債法案の成立前に解散となれば、自民党が首尾よく政権復帰したとしても即刻、これに代わる財源確保なり、減額補正が迫られよう。法案に反対するのなら、解散総選挙後の対応策まで示してもらわなければ、無責任の誹りは免れない。
それに本欄で何度も繰り返し指摘してきたところだが、法案が否決されたからといって野田佳彦首相が解散を決断するとは限らないのである。
茂木氏は秋の総裁選出馬に意欲を見せていると聞く。政局の主導権は“我にあり”といったところ、目立ちたい気持ちは分かるが、空回りが過ぎよう。
政調会長であれば政局ではなく残る会期、国会審議を通じて来るべき自民党政権の姿を国民有権者に知らしめることに全力を傾注してもらいたい。
折しも政府の国家戦略会議は30日、来年度予算編成の基本方針となる2020年までの成長目標を示した日本再生戦略をまとめた。対する自民党は200兆円もの公共事業を折り込んだ「国土強靱化」戦略を打ち出している。
いずれも消費税増税を前提としたものだが、公共事業のバラマキ政策は、かつての自民党の利権体質そのままにしか見えない。違うというのなら、自民党はどう変わったのか。解散総選挙を迫る前に残る会期、国民の疑念を払拭することが先決だ。
【東京スポーツ「永田町ワイドショー」8月1日より】