谷垣総裁は次期首相にふさわしい振る舞いを(藤本 順一)
参院の自民党会派に1日、無所属の長谷川大紋議員(茨城選挙区)が加入した。これで自民党会派は87議席。わずか1議席が増えただけだが、第1会派の民主党の88議席に迫る1議席でもある。さらに自民党の派閥領袖クラスは本欄の取材に対して「消費税法案の採決後、首相に問責決議案を突きつける前後に5~6人が会派入りする」と明言。これに公明党の19議席を加えてもなお121議席の過半数には届かないが、解散総選挙後の政権復帰が確実視される中、ねじれ国会解消の布石となろう。
それはさておき、国会は最大の焦点となる消費税増税関連法案が6、7日の中央公聴会を経て早ければ10日にも参院本会議で可決成立する見込みだ。これに先立ち、政府・民主党は今年度の予算執行に不可欠な特例公債法案の衆院採決を目指すが、自公両党が反対しているために成立の見通しは立っていない。
もっとも特例公債法案には、将来の消費税増税で基礎年金国庫負担分の財源不足を穴埋めする「つなぎ国債」の発行が含まれている。いわば、消費税増税の先食いであり、自公両党が反対するのも当然である。
それ故、自民党は予算審議の過程で、この先食い部分を減額補正し、農家の戸別補償など民主党マニフェストの撤回で財源を穴埋めするよう求めてきた。しかも、政府・民主党があてにする消費税増税関連法案は成立前、参院で審議中であればなおさらだ。
「ゴリ押しして衆院で採決しようとしているのは参院審議の軽視だ」
31日の自民党役員会で谷垣禎一総裁はこうした政府・民主党の無節操な国会運営を厳しく批判している。
無理もないが、消費税増税の先食いを許さないのであれば、なぜ3党合意の時にしっかり詰めておかなかったのか。谷垣氏にも責任のいったんはあろう。
何よりすでに走り出している今年度予算の執行をストップすれば、国民生活への影響が大きすぎる。自民、公明両党は特例公債法案への協力を条件にして野田首相に解散総選挙を迫るつもりのようだが、ここまでくれば、解散時期が多少先にずれても大勢に影響はない。谷垣総裁にはもっと懐を大きく、次期首相にふさわしい振る舞いで野田政権の最後を見取って欲しいものだ。
【東京スポーツ「永田町ワイドショー」8月3日より】