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金正恩夫人が出演するDVDを発見した!(辺 真一)

週末は音楽三昧だった。音楽と言っても、趣味のクラッシクではなく、めったに聞くことのない北朝鮮の曲オンパレードだった。というのも、金正恩第一書記の夫人、李雪主(リ・ソルジュ)さんが歌手だったことが判明したからだ。

李夫人が、2009年5月に結成された銀河水(ウナス)管弦楽団の専属歌手であったことはすでに既報されているが、同管弦楽団は同年1月に金正日総書記の指名により後継者に内定した正恩氏肝いりの管弦楽団であることはあまり知られてない。

金正日総書記の「コードネーム」というか、「屋号」は「光明星」である。同様に金正恩第一書記には「銀河」の屋号が与えられている。

「銀河」という名は北朝鮮では2009年から表面化した。銀河水管弦楽団の結成1か月前の2009年4月に北朝鮮は人工衛星と称して「光明星2号」を打ち上たが、発射推進体には「銀河」という文字が書かれてあった。正恩氏が父親の宇宙への夢を実現させるという演出なのかもしれない。

今春、北朝鮮は「光明星3号」の打ち上げに失敗したが、発射推進体のロケットには同様に「銀河3号」という赤い文字が刻まれていた。ちなみに、1998年に三陸沖に向けて発射されたテポドンミサイルを北朝鮮は「人工衛星『光明星1号』を打ち上げた」と発表したが、この時には発射推進体に「銀河」の文字はなかった。正恩氏は当時、まだ15歳でスイス留学の身にあった。

そんなことを思いながら、昨年訪朝した友人から土産にもらったDVD「銀河水 2011新年音楽会」「銀河水 旧正月音楽会」「青年大学生らとの銀河水合同公演」そして「銀河水管弦楽団とロシア21世紀管弦楽団のメーデー合同音楽会」の4枚を二日がかりでみた。

このうち2枚に夫人が出演していた。「兵士の足跡」や「まだ言えないわ」などの歌を熱唱していた。韓国のメディアが伝えるように2010年に正恩氏と結婚しているならば、当然、「主役」を張ってしかるべきだが、単なる出演者の一人に過ぎなかった。女性7重奏の場面でも、端の方に立っていた。それにしても、結婚してからも、舞台に立たせていたとは、正恩氏は実に寛大な人だ。

ちなみに一時は「夫人ではないか」と噂された北朝鮮のポップユニット「普天堡(ポチョンボ)電子楽団」元メンバーの玄松月(ヒョン・ソンウォル)の歌も聞いてみた。

普天堡楽団が1990年代初期に来日公演した際に発売された記念CDに彼女の歌が5曲含まれていたが、なんとそのうち4曲が日本の歌だった。小柳ルミ子の「瀬戸の花嫁」と森昌子の「おかさん」のほか戦前に流行った「タバコ屋の娘」もあった。北朝鮮の歌手かとは思えないほど日本人の情緒を感情豊かに表現していた。

そう言えば、「瀬戸の花嫁」は金正日総書記が生前、こよなく愛した歌で、プライベートの宴会の場で幹部らがこの歌を合唱すると上機嫌だったと、料理人の藤本健二氏から聞いたことがある。

金正日氏は「瀬戸の花嫁」以外に「トラック野郎」や「草津よいとこ」が好きだったとのことだが、一番のお気に入りは軍歌「ラバウル小唄」で、この歌になると、一緒になって歌っていたというから驚きだ。

幼い頃、日本語を学び、91年、92年と日本に二度来たこともある正恩氏の日本の持ち歌は何なのだろうか?

【ブログ「ぴょんの秘話」より】