始動した北朝鮮・金正恩の外交活動(辺 真一)
米華字ニュースサイト・多維新聞は、中国の胡錦濤国家主席の使者が訪朝したが、金正恩第一書記が会見を拒否したと、7月31日に報じていた。
多維新聞は、胡主席の特使として中国共産党中央対外連絡部の王家瑞部長が平壌を訪問したことを韓国紙や日本紙が報じたにもかかわらず「異例にも中国メディアは報道しなかった」と伝え、「その理由は王部長が金正恩第一書記と会見できなかったためだ」と指摘していた。
ご丁寧にも王部長が金第一書記と会見できなかった理由についてある専門家の話として「金第一書記は就任後、まだ正式な外交活動を行っていないため、最初に会う外国の賓客が王部長になることを避けたとの分析もある」と書いていた。
最後に北朝鮮には「3年間は喪に服すという儒教的伝統から、少なくとも3年間は公開の外交活動を避けるとの見方もあるが、北朝鮮の事情はともかく、中国のメンツが潰された形となったことで中国サイドは不満を見せているという」と締めくくっていた。
ところが、昨日、朝鮮中央放送は金正恩第一書記が王対外連絡部長と会談したと報じた。中国国営・新華社もほぼ同時に報じた。米華字ニュースサイト・多維新聞の記事がいかにいいかげんかがわかる。
ところで、日本のメディアには王部長が金第一書記に胡主席のメッセージを伝えたと報道されているが、今朝の労働新聞には胡主席個人のメッセージではなく、「胡主席を含む中国共産党領導集団が送ったメッセージ」となっていた。
また、中国国営・新華社によると、金第一書記は「朝鮮半島の平和と安定維持のため積極的に努力する」と述べたそうだが、労働新聞には金第一書記が王部長と親善的談話を行ったとされ、「朝鮮半島の平和と安定維持のため積極的に努力する」との具体的な言及はなかった。
但し、会談には外交担当の姜錫柱政治局員(副総理)と対韓担当の金養健政治局員候補(党統一戦線部部長)の二人が同席していたことから核問題や南北問題が議題に上がったことは十分に推察できる。折しも、米朝の間で、先月31日から4日間にわたってシンガポールで公式接触があったことが今朝、確認された。
米朝、南北関係で何か動きでもあるのだろうか?
【ブログ「ぴょんの秘話」より】