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北朝鮮No.2の金永南がベトナムとラオス訪問へ(高野孟)

《新聞はベタ記事が面白い》No.007

日本経済新聞31日付第6面のたった11行のベタ記事が気になる。北京発共同電で「北朝鮮の朝鮮中央通信は30日、同国ナンバー2の金永南最高人民会議常任委員長が近く、ベトナムとラオスを公式訪問すると報じた。北朝鮮は最近、東南アジア諸国との関係強化に努めており、金委員長は5月にインドネシアとシンガポールを訪問した」とある。

韓国の朝鮮日報もフォローしていて、「今回の訪問は、ベトナムのチュオン・タン・サン国家主席、ラオスのチュンマリ ・サイニャソーン大統領の招待によるもの」と述べている。同紙がさらに「北朝鮮に詳しい消息筋は『中国を経て、ベトナムやラオスに滞在している脱北者の取り締まりについて話し合われるのではないか』と語った」と付け加えているのは、たぶん的外れで、5月のインドネシア・シンガポール訪問の際には、外資誘致機関「朝鮮合営投資委員会」の李光根委員長らが同行していたことを思えば、5月のその両国訪問も今回のベトナム・ラオス訪問も、金正恩の経済重視すなわち緩やかな対外経済開放と外資誘致への地均しが主目的と見るべきではないか。

とすると、辺真一が本サイトで書いている「金正恩訪中」の日程にも経済視察が組み込まれる可能性が高い。故・金正日は晩年、2010年5月からの1年間に3回という異例な頻度で訪中して、太陽光発電工場、ハイテク工業団地、大型スーパーの食品売り場、工作機械工場、乳業工場、都市計画展示館と住宅の建設現場などを視察した。我が国の経済をこんな惨めな状態にしたままでは死んでも死にきれないという激しい焦燥感がそうさせたに違いなく、その父親の死に際の心情を正恩はよく分かっているだろう。▲

《高野孟のTHE JOURNAL》
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