ノーボーダー・ニューズ/記事サムネイル

「金正男記事」どっちが本当!?(辺 真一)

昨日群馬の前橋で行われた講演でも触れたが、年間300億円の予算を使って北朝鮮の内部情報を把握しようとしている韓国の情報機関、国家情報院ですら北朝鮮の核心情報をなかなか掴めないでいるのが実情だ。肝心要の金正日総書記の死去を北朝鮮が公式発表するまで51時間にわたってキャッチできなかったことからもそのことがわかる。

正恩氏の後継者就任と同時にその言動が何かと注目されていた異母兄、正男氏の動静について27日付けの韓国紙・東亜日報は「5月に一時帰国していた」と報じていた。

正男氏についてはこれまで韓国メディアが競って正恩氏による暗殺計画の報道を伝えていたのは周知の事実だ。現に、この東亜日報の報道の前日に同じ韓国紙・文化日報が「正男氏は現在、身の危険を感じ、世界各地を転々としている」と報じたばかりだった。「主要な資金源が遮断されたため金に困っている」とも伝えていた。

しかし、東亜日報は「正男氏は身辺に危険があるのではなく、むしろ北朝鮮の指示で、(外国からの)投資誘致などの任務を実行しているのではないか」と180度異なる情報を載せていたから日本のメディが飛びつくのも無理もない。

同紙は、正男氏が今年初めにプーチン大統領の地元、サンクトペテルブルクやシンガポールに姿を現したことからロシアが最近、北朝鮮の対露債務を削減したこともシンガポールが北朝鮮のテクノクラートを呼び、市場経済の勉強をさせていることも正恩氏が何からの役割を担ったのではないかと推測していた。

東亜日報のネタ元は「対北消息筋」で、文化日報は「政府高位当局者」となっている。一方が事実なら、他方は嘘ということになる。一体、どっちが本当なのだろうか?もしかすると、二つの記事とも、韓国記者特有の「作文」では?

「東亜日報」の記事について言うなら、危険を感じてないなら父親の国葬(12月)や100日喪(3月)の時に帰らず、なぜ5月に帰国したのか、今一つ腑に落ちない。

どちらにせよ、韓国の対北関連記事は憶測や伝聞、未確認情報があまりにも多すぎるので日本のメディアが転載する場合は、裏が取れないこの種の情報は、見出しに「?」を付ける必要があるのでは。未確認情報が回りまわって既成事実化してしまうのが一番やっかいだからだ。